おわりに 152 たのかもしれない。チームに所属する教員にはイメージできなくとも,同じ学年の他の教員であればイメージできることもあり得る。小学校のベースはやはり学年である。学年のどの教員であってもGIGA端末の活用事例にアクセスできるよう,環境を整備する必要がある。 二つ目は,教育情報化促進チームの役割を校内研究に併せることである。何も校内研究のテーマを情報教育やICT活用にしなさいというのではない。校内研究で行われた授業の分析の視点の一つとして,GIGA端末の効果検証を含めるのである。これであれば実際に授業を見るのであるから,イメージできないということにはならない。そしてこれは,本研究の最も大きな課題の解決につながる。それは,GIGA端末の活用が教科等のねらいにどのようにつながったのか分析ができなかったことである。 正確に言えば,分析をしてそれを校内で共有できなかったことが課題である。おそらく,学年内での教材研究においては,教科等のねらいを達成できているかについて検証している場合もあるであろう。しかし,日々複数の教科の授業準備をしなければならない小学校においては,一つの授業の検証をする時間が十分にあるとは言い難い。すぐに次の授業の準備にかかるのである。検証の機会は,無理やりにでも生み出さないとならないのが実情であろう。 より多くの実践が集まりやすい教育情報化促進チームで分析をするのか,より多くの教員の目で分析することができる校内研究で分析をするのか,どちらにもメリット・デメリットはあるが,いずれにせよGIGA端末に慣れ始めた次年度以降,避けることのできない課題である。 GIGA端末の活用については,全国的にもまだまだ実践の積み上げが少なく,どのような活用が正解なのか,仮説で語られている段階である。個別最適な学びとの関連も言われるようになり,単元における児童の学習活動の複線化を支援する,そのような事例も登場した。従来の指導観,授業観だけでは判断できない,それがGIGA端末なのであろう。 日本の教育界における黒船のような存在のGIGA端末とどのように向き合っていくのか,我々教員の情報活用能力や問題発見・解決能力といった資質・能力が問われていると感じた1年であった。その際,本研究の知見が少しでも役立てば幸いである。 最後に,日々の教育活動が大変忙しい中にもかかわらず,本研究の趣旨を理解し協力してくださった京都市立伏見板橋小学校と京都市立明親小学校の校長先生をはじめ,一緒に悩み挑戦し続けてくださった研究協力員とその学年の先生方,素敵な実践を提供してくださった教育情報化促進チームの先生方,温かく迎えてくださった教職員の皆様,そして,いつも笑顔で接してくれた子どもたちに心から感謝の意を表したい。 小学校 情報教育 22
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