事前アンケートの結果に比べて,事後アンケートでは全体的に頻度が上昇していることがわかる。特に4年生以上ではどのクラスも週3日以上になっていた。これは,児童の情報活用能力の高まりと同時に,ローマ字入力ができるようになることで使い方の幅が増えることと関係するであろう。 次に活用方法である。使い方の交流が校内で進むことで,個々の指導者の引き出しが増え,様々な活用がなされるようになるはずだからである。 事前アンケートに比べ,その活用方法をしている教員の数が増えた項目については,マスを塗りつぶしている。多くの項目で数値が増えていることが分かる。 協働的な学びに寄与する使い方である共同編集や思考ツールを使った整理・分析,学習履歴の活用や教科横断的な学びにつながる他教科の情報の活用,自己調整の支援になるカメラ機能で自分を客観視する活用,ICTのよさを生かしながら,今求められている学びの在り方につながる活用方法が特に増えていることも特筆したい。 さらには,児童に課題に応じた使い方を委ねる指導者も増えている。これは4年生以上の高学年にのみ現れた回答である。全ての児童,指導者がGIGA端末に慣れているであろう数年後にはどうなるかわからないが,現状では,M【変容】は4年生以上で起きやすいと捉えるのが妥当であろう。 このような教員の成長に与える影響は他にもあり,本研究が要因であると言い切ることはできない。事後アンケートにおいて,GIGA端末を使った授業を考える際,ヒントにしたものは何かを尋ねた。最も多かったのは,学年内での教材研究や情報交換で23人であった。情報教育主任やGIGAスクール推進主任からの情報14人,教育情報化促進チームによる情報13人,研究員(筆者)からの情報9人であった。 教育情報化促進チームの主任から校内への発信が軌道に乗るにつれて,当初低かったチームの働きについての理解は徐々に深まっていった。ただし,教育情報化促進チームで共有された事例が参考になったと答えたのは半数であった。このことから,校内の全教職員に直接影響を与えたことよりも,チームの情報をもつ教員とそうでない教員が入り混じった学年内で,GIGA端末に関する経験や知識が交じり合い醸成されたことが,様々な実践とその成長につながったと考えられる。 課題としては,教育情報化促進チームでの知見がうまく学年に反映されないケースが挙げられる。教育情報化促進チームでは様々な学年の実践が報告されるが,それは文章と成果物の一部を用いて共有される。ゆえに,その学年の授業を実践したことが無い教員にとってはイメージがしにくいのである。また多忙化の中で,伝達時間を確保できない場合もある。解決方法としては二つある。 図3-1 GIGA端末頻度。左が事前(n=25),右が事後アンケート(n=23)による。 Q:GIGA端末を授業中に使う際, 主にどのような活動に使っていますか【複数回答可】 図3-2 GIGA活用方法の変化(n=28) 一つは,チームで共有しているシートを全教員が閲覧できるようにすることである。これは簡単にできるはずなのだが,おそらく,筆者の研究に関わるということで共有してはいけないという配慮が働い小学校 情報教育 21 151
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