図2-2 実践を共有するためのシート (2)実践の共有による効果 教育情報化促進チームで実践の共有を行うにあたり,本研究のために共有するのではなく,校内組織として実践に関する情報を蓄積し,次の実践に生かすためであることを確認した。情報を蓄積し次の実践に生かすという目的から考えると,単元・本時のねらい,児童の活動,児童の反応,発揮・育成したい情報活用能力など多くの情報が必要であることから,図2-2のようなシートに情報を記入し,実践例を蓄積することにした。ただし,このようなシートを記入することは,教員の仕事を増やすことになり負担感につながる恐れもある。そこで,次の年に行う人が白紙から考えるのではなく参考にすることができたり,課題やその解決策をあらかじめ示しておくことで同じ失敗を回避できたりすることなど,成長の効率化につながることを強調した。 また,分析することを強調するあまりに批判的になりすぎるとメンバーが事例を共有することに委縮し,せっかくの実践例が出にくくなる恐れがあること,GIGA端末導入1年目であり,まずは各自のGIGA端末の使い方の引き出しをどんどん増やしたいという両校主任の願いがあり,批判的な分析はあまり行わないことにした。 その上で,学習支援ソフトを使って,実践が記入されたシートを共有しながら交流を行った。そのことによって,実践例をその汎用的な部分に注目して捉え直したり,系統的に情報活用能力を育んでいくことの重要性に気付けたりした。それらを交流の会話記録から示す。 A教諭:(総合的な学習において,児童を取材班と編集部に分け,グループで学習支援ソフトの共有ファイルを用いて共同編集で新聞づくりをした事例の説明。情報を収集する際に,目的に応じた情報収集が課題であったと述べる) B主任:国語,新聞を作ろうという単元があるんですけれど(学習支援ソフトで調べたことをメモで残したり,アンケート作成機能を使ってアンケートを取ったり,付箋にしてある情報を並べてレイアウトを考えたり,それをもとに下書きしたりした実践)。猫について調べているけれど,猫の種類だけを調べている子がいたりと,①(4年生も)目的に応じて調べる力はまだまだ弱かった。 A教諭:②情報の収集の仕方やな。 B主任:③ゴールがはっきりしていないと,実際何をどう伝えたいとか。 A教諭:作る前に見本見せたやろ? B主任:はい。しっかり示せてなかったのかもしれないけれど。あと何でも鵜呑みにしちゃうので。④情報の正確性とか,精査ができていない。 A教諭:国語のねらいとしては,書いてあることやな。見出しについて知るとかやな。いいんちゃう。やっていけば力もついていくやろうし。 B主任:⑤新聞も紙でやるとこっちでやるとでは子どもの意欲も全然違う。 筆者 :書くことのハードルを下げるということですか? 高学年でも意欲が上がりますか? A教諭:めちゃくちゃ上がる。⑥すぐ修正できる。書いた文章がめちゃくちゃ見やすいし。 小学校 情報教育 17 147
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