ことで,課題が見つかったり改善策が生まれたりし,より効果的なICT活用につながることも期待できる。京都市においては,GIGA端末活用を推進する組織として教育情報化促進チームが各校に組織されているので,この組織が効果的に運営されるように試みたい。 (2)効果の分析に関わる視点 校内研究や教育情報化促進チーム等で情報交換が行われる中で,どのような成果が実感されることがGIGAスクール構想の推進として適しているであろうか。間違った視点で成果を捉えてしまった場合,ICTの使い方はそれでよいのかという疑問を招くことになる。 例えば,ICT導入期においては多くの児童生徒はICTを使うことに興味・関心があり,ICTを使うということだけで授業に意欲的に参加することがある。しかし,その真新しいことによる効果は次第に薄れていく。そう考えると,ICTを使ったことで子どもが意欲的に授業参加したという効果は,成果としてはふさわしくないであろう。ICTをどのように使ったことでどのような効果があったのか,その分析の視点は,慣れていくと薄れるというようなものではなく,明日の,来年の,数年後の授業づくりに役立つようなものがふさわしい。 それは情報活用能力の育成につながるかどうか,そして教科のねらいの達成につながるかどうかであろう。これは「教育研究の方向性」(4)で述べた(p.3)GIGA端末導入の意図からである。一方,GIGA端末導入の意図には個別最適な学びも含まれているので,個別最適な学びや協働的な学びにつながっているかを分析の視点とすることも考えられる。しかし個別最適な学びや協働的な学びは教科のねらい達成のためにあるので,本研究においては情報活用能力の育成と教科のねらいの達成をICT活用の効果を分析する際の視点とする。 例えば,情報活用能力育成と教科のねらいの達成の両方につながる事例があれば,それはGIGA端末の活用方法として適していることになり,より多くの教員に伝達すべしとなる。また,教科のねらいの達成につながらなかったものの情報活用能力育成につながるものがあれば,それは帯時間や余剰時間など教科等の時間外に行うことができると判断すればよい。 このような分析を繰り返すことで,ある教科や学習過程においてはどのようなICT活用が有効なのか,事例の共通点を捉えることで一定の法則が見えてくるかもしれない。また,逆もしかりであり,このような使い方は適さないという知見も積み上がるであろう。これらの情報の積み上げが,ICTの利便性や有効性を実感できる実践の創出へとつながり,教員の意欲を高め,更なる実践につながるのではないだろうか。 第2節 校内組織運営の実際 (1)授業づくりの視点の提案 研究協力校両校の教育情報化促進チームは,GIGAスクール推進主任または情報教育主任である研究協力員及び各学年の教員1名ずつで組織されている。研究協力員には,研究の方向性を共有するためにSAMRモデルをもとにした四つのステップや日常的活用の促進を提案し,先進的に取り組んでいる地域の事例や単元を通した活用の例を示していた。それらの情報を教育情報化促進チームで共有したいという要望があり,8月に共有している。 図2-1 ICTの効果分析のイメージ 146 小学校 情報教育 16
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