614 R3最終稿【木村】
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S①:俺,○○(大手検索エンジン)で調べてるけど,買わせるサイトばかり出てくる。 S②:そうなんや。△△(児童向けポータルサイト)だとそんなことないで。 S③:本の方がいいかも。ネットやと書いてあることが多すぎて。 S①:俺も本見ようかな。ちょっと見せて。 児童の自分で計画を立てて見通しをもちながら学習を進める力や,状況に応じて情報技術を含めた様々な方法を選択する力等に磨きをかけるためにも,このような児童が単元の学習を自律的に進めていく授業を意図的に実施していく必要があろう。 表1-6 情報活用能力アドバイスシートの中学年の一部を抜粋 課題の設定・計画 身近な問題・課題に気付き,解決しようと探究する計画を立てる。 評価・改善 (1)中央教育審議会『「令和の日本型学校教育」の構築を目指して』2021.1.26 p.31 (2)Ruben R.Puentedura「SAMR and TPCK:Intro to Advanced Practice」 http://hippasus.com/resources/sweden2010/SAMR_TPCK_IntroToAdvancedPractice.pdf 2021.8.19 (3)豊福晋平「2030年代の公教育の展望と教育情報化-GIGAスクール構想をいかに駆動させるか-」講演資料より 2021.6.3 (4)豊福晋平「デジタルシフトとSAMRモデル」https://gakko.site/wp/archives/1181 2021.11.30 (5)前掲(3) (6)梅棹忠夫「知的生産の技術」岩波新書 1969.7.21 p.9 (7)文部科学省「GIGAスクール構想のもとでの国語科の指導について」 https://www.mext.go.jp/content/20210625-mxt_kyoiku01-000015438_rs.pdf 2021.12.03 144 積編集であり,M【変容】に至っていると考えられる。 キにおいては,児童の判断に委ねられる割合が更に増大していた。児童は一つの伝統工芸を選びそのよさを伝えるリーフレットを作ることになったのだが,その課題が示されると同時に,更に7時間という時間の裁量が児童に委ねられた。まずはどの伝統工芸について伝えるのかを選ぶのだが,早々選ぶことができた児童は他の児童を待つことなくどんどん情報を収集していく。自分で興味のある伝統工芸を選んだのだから,早く詳しく知りたいのである。情報収集の仕方も,webで検索して調べる児童,図書館の本で調べる児童,副読本から調べる児童と様々であった。その時の児童の会話が非常に面白い。 児童は自分が選択した方法で情報収集し始めたのだが,それぞれの方法には特性があり,うまく情報が手に入ったり入らなかったりする。例えば,語彙が豊富で漢字が得意な児童であれば,大人向けの情報であふれている大手の検索エンジンからでも情報をうまく集めることができるであろう。しかし,多くの4年生にとってはそうではない。目的や自分に合った方法を選択して情報収集することが必要である。このような自由に調べる機会でこそ,それぞれの特性を実感することができる。 情報を整理する際も,ノートにメモを書きながら整理する児童もいれば,ネットの文章をコピーして付箋に貼り付け,そこから必要な情報を選んでそれ以外を削除している児童もいた。そして,収集に2時間かける児童もいれば,1時間で終わる児童もいる。情報を整理し始めてから,足りない情報があることに気付き,再び情報収集に戻る児童もいる。それぞれの児童が今何をすることが必要か,そのためにどのように端末を使うことが必要かを判断しながら学習を進めていた。4年生でM【変容】に至ることは十分できる。 このような単元内での活動順序や時間配分を児童が自由に決めることができる学習スタイルは,児童が自分のペースで自分に合った活動を選択できることから,個別最適な学びだといえる。また児童は与えられた時間の中でどのような活動を行うのか計画を立て,毎時間の終末には残りの時数や課題達成度合などを踏まえながら次時の活動の予定を立てねばならない。見通しをもちながら自身の学習方法を選択する力を育成し,自律した学習者を育てるために有効であろう。 情報活用能力アドバイスシートのステップ2には以下の項目がある。 小学校 情報教育 14 見通しをもって情報を使った学習を進めるとともに,学びを振り返り,次にやってみたいことを考える。

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