表1-4 4年生のGIGA端末活用例 図1-10 どのようなキーワードで検索したかを共有した画面 142 データであれば共有機能を使えば数秒で可能である。 つまりGIGA端末を使って効果を感じることができなかったのは,スキル不足か授業構想の問題であって,GIGA端末を教育に取り入れること自体の問題ではない。 学校教育にICT操作スキルを含む情報活用能力を育成することやICTを効果的に使ったことによる個別最適な学びと協働的な学びが求められている今,GIGA端末を使うと効率が下がるから使わないという姿勢は,容認されない。効率が下がらないよう使いこなせるレベルにまで児童のスキルを高める機会を用意し,さらにはその能力が生かされる授業を構想することが我々教員には要求されている。 (2)GIGA端末活用の日常化 ICTを日常化していくことが重要であることは第1章第1節で述べた。スピードは遅いかもしれないが,タイピングができるようになったことでGIGA端末の使い方や頻度はそれまでと比べて格段に増える。つまり低学年より中学年の方が日常化はしやすいといえよう。表1-4は,A校4年生のある週のGIGA端末活用スケジュールである。 ①情報ライフライン 朝学校に来たら子どもたちはまず,GIGA端末を保管庫から取り出し,学習支援ソフトのチャット機能を確認する。そこには指導者からの連絡事項とアンケート作成ソフトを利用した課題が送られている。児童は必然的に毎朝タイピングをすることになる。また,朝のうちに端末を用意しているので,以降,使いたいと思ったときにすぐに取り出して使うことができる。正に豊福の言う情報ライフラインにする取組といえよう。なお,アンケート作成ソフトはデジタルドリルと違い指導者が問題を作る手間はあるが,一問一答形式だけでなく記述式の課題を出すことができたり様々な問いを用意できたりするなどメリットもある。 休み時間は,晴れていれば外に出て体を動かすことが推奨されてはいるが,雨の日はタイピング練習をしてもよいことになっていた。 ②情報活用能力の育成 給食後の帯時間では,タイピング,検索,思考ツールの使い方など様々な情報活用能力を高める試みを行っていた。例えば,検索ゲームである。指導者から,学習支援ソフトの共有機能を使って児童に1枚の写真が送られてくる。児童はその写真に写っている物は何かを,ネットで検索して調べるのである。見付けることができた児童は,どのような検索ワードで検索したのかを付箋機能を使って示し,クラスで図1-10のように共有する。写真に写っているものを特定するには,複数の検索ワードを入力して検索する必要がある。この例ではタージマハルだが,「インド,建物,白,左右対称」などの検索ワードが考えられる。検索ワードを決定するには,ものごとを複数の要素に分解したり,重要な要素を選び抜いて抽象化したりする情報活用能力が必要である。 最初は適切なキーワードを選ぶことが困難な児童も,何度か繰り返すと素早く正解を見つけ出すことができるようになるという。このような練習を帯時間に重ねておくことで,いざ授業の中で情報収集を小学校 情報教育 12
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