614 R3最終稿【木村】
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各実践に波線を引いた部分を見るとわかるのだが,生活科②以外の実践はGIGA端末の写真動画撮影機能を使ったものである。写真や動画として収集された情報は,学習支援ソフトを使って蓄積されたり共有されたりして,改善点を見つけたり比べて発見を得たりするために使われている。 (4)低学年における日常的な取組 (3)で紹介した事例のうち,例えば算数科での問題作りは,問題作成の段階ではノートに記述しており,共有する部分のみGIGA端末を使っているので,四つのステップにおけるS【代替】にあたる。図画工作科における児童が必要に応じて写真を参考にする例は,児童が主体となって活用しているので,表1-2 情報活用能力アドバイスシートの低学年の一部を抜粋 編集と記録 情報の収集 情報の整理・分析 まとめ・表現 図1-7 授業中のGIGA端末の主な活用方法(n=23 単位は人) 上記のような実践を重ねた後で研究協力員の一人が,「端末は残せないものを残したり共有しにくいものを共有できたりするから良い」と述べていた。 生活科では生き物や植物と触れ合うし,算数科では身の回りに隠れた図形やかけ算を見つけに行く。そういった体験を共有したり,記憶しておいて次の学びに生かしたりしたいのだが,本物や体験は持ち帰ることが難しく,記憶は薄れてしまう。図画工作で作った作品は,実際に触らせてあげたいのではあるが,鑑賞中に他者が作品を壊してしまったとなるとトラブルの原因になりかねないので,動いている様子は実は共有しにくい。そして,音読の様子など自身を客観的に評価し改善したい場合であっても,自分を客観的に捉えることは大人でも難しい。しかし,GIGA端末があれば別である。生き物の様子や自身が体験したこと,様子などは動画に収めておくことができる。持ち運んだり保存したりすることの難しい実物は写真に収めておくことができる。それらをもとにすることで,記憶をより鮮明に呼び起したり,あるいは記憶や主観に頼らずに考えたりすることができるであろう。さらには,写真・動画撮影機能は操作が簡単であり,児童間の操作スキルの差ができにくいので,授業中のタイムロスを生みにくいという利点もある。 12月に行った研究協力校へのアンケート(以降実践後アンケート)で,「GIGA端末を授業中に活用している場合,主にどのような活動に使っていますか【複数回答可】」と尋ねた。結果は図1-7のとおりであった。最も多かった活用法は,23人中18人が該当した「児童がカメラ機能を使って情報を記録する」である。このアンケートは授業を行っている全教員に対して実施しているので,写真・動画撮影機能を活用して情報を記録し,それを活用して学習することは,最も汎用性のある情報活用方法といえる。表1-2の情報活用能力アドバイスシートにも示されているが,観察やインタビューで集めた情報を記録するにも,それらを形として残して比べたり関連付けたりするにも,まとめ・表現に使うためにも,情報を写真や動画で記録しておく必要がある。正に学習の基盤となる情報活用能力といえるであろう。 簡単な操作とはいえ,光があたる方向を考えたりピントを合わせたりして鮮明に撮影することや,目的に応じて写し方を変えること等,活用の仕方は発達段階に応じて高度になる。低学年から系統的に十分に取り組みたい。 写真や音声,動画の記録を行う。 観察やインタビュー,図書,Webサイト等から情報を見つける。 見付ける,順序だてる,比べる,試す等の学習活動を通して,情報を整理する。 相手に伝わるように実物,写真,動画等を活用して,工夫して表現する。 小学校 情報教育 9 139

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