表図表図式式グラフ3%5%74%グラフ14%7%25%【実践前】(n=152) 図4-3 式,図,表,グラフの使用状況の実践前後の比較 中学校 教科指導(数学科) 19 【実践後】(n=146) 振り返りには次のように記述している。 ・すでに習ったことを根拠にして証明すれば図形の性質を明らかにすることができると思う。 自力解決の場面で考え方ボックスを確認し,前ページの図4-2のように三角形の外角の性質を選択し根拠として使った。自力解決の場面で図に補助線を引いて式を記述し,集団解決の場面で他者に説明するときに,考え方ボックスにまとめておくことで活用することができたと実感している。考え方ボックスの活用が,新たな問題に対しても既習の知識を活用し,見通しをもって解決に取り組むための手立てとして有効であったことがうかがえる。 他にも以下のような記述が振り返りの中で見られた。 生徒N:①新たに補助線をひいて,錯角や同位角,三角形の合同条件など様々なヒントを使って解け ることが分かった。また,数学は1つだけではなく,②他の解き方でも解ける問題もあるた め,1つの考えに固執せずに柔軟な発想をもつことが大切だと思った。 生徒O:最初はこうなんじゃないかなという,不確かな感じで答えていたけど,単元を通して③ここ とここが等しい,だから合同だ,だから等しい,と道すじを明らかにして説明できるように なりました。④1年の作図の性質が分かっていないと等しい辺が見つけられないなどあるの で,そことつながっているなと感じました。 生徒Nは,補助線を引くことで既習の知識や技能(ヒント)が使えるようになるということや(①),様々な考えに触れる中で多様に考えることの大切さを感じたようである(②)。生徒Oは,根拠をもとに筋道立てて説明することの大切さを学び(③),さらには,根拠を示したいときには以前の学びに立ち返ってみるとよいと感じたようである(④)。 これらの振り返りからは,根拠をもって解決への過程を考えることの大切さに気付き,解決の結果や知識及び技能を重視する傾向から,思考や表現の大切さにも目を向けるようになったと考えられる。 (2)数学的な表現を関連付けることを通して 本研究の実践では,数学的な表現を関連付けることで自分自身の理解を確かにし,他者にわかりやすく説明することができるようになり,今までは式のみで表すことが多かった生徒も図,表,グラフへ表現の方法を広げていけると考えた。図4-3は「問題を考えるときに,どの方法で考えることが多いですか」と,実践の前と後に問うたアンケートの結果である。 この結果からは,実践後に図,表,グラフで考えると答えた生徒の割合が増加していることが読み取れる。本研究の実践を行ったのが図形領域と関数領域の単元であったため,図,表,グラフを使いやすい内容ではあったが,授業の中で指導者が意図的に図,表,グラフを用いて考えたり説明したりする場面を設定したことで,その有効性を実感した生徒も多かったのではないだろうか。では,どのような理由でこのような変化が生じたのか,単元の振り返りから考察する。 18%54%
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