612 R3最終稿【寺井】
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①初乗り料金がワンコインで済ませられる500円で, ②3.6㎞以降は払うのをためらうような,でも安く感じる ような100円。③5㎞のときにAプランと重なるので5.1㎞ 以降からCプランが高くなるので5.1㎞未満のときにCプラ ンがお得。 生徒Kは,理由を考えて初乗り料金や加算料金を決めた(①②)。 ④初乗り2000円で3.0㎞以後22円加算で⑤Aプランの 8.0㎞のときとCプランの8.0㎞の料金が同じ(3100円)に なり,それ以後,Cプランがお得になるから。⑥それ以後 0.1㎞ごとにCプランが18円安くなっていく。(40-22) 生徒Lは初乗り料金と加算料金を決めて(④),グラフから料金が等しくなる距離を考えて(⑤),遠距離がお得なプランであることを示した上で,8㎞以降のAプランとCプランの差額を示した(⑥)。また,グラフと式を関連付けて表し,どの程度安くなるのかという説明をかき加えた。数学的な表現を関連付けることで,より説得力のある説明をすることにつながったと考えられる。 図3-16 生徒Kが表したグラフ 図3-17 生徒Lが表したグラフ 図3-18 三つを組み合わせたグラフ 図3-19 傾きが平行になるグラフ 生徒Kは図3-16のグラフで,乗車距離が5㎞未満の近距離のときにお得になるプランを考えた。「乗車距離が3.6㎞までは初乗り料金500円,以後0.1kmあたり100円加算」というプランを考え,以下のような説明を記述した。 そして,5㎞のときにグラフが交わることから近距離がお得なプランであることを示した(③)。 また生徒Lは図3-17のグラフで,乗車距離が8㎞以上の遠距離のときにお得になるプランを考えた。「乗車距離が3㎞までは初乗り料金2000円,以後0.1kmあたり22円加算」というプランを考え,以下のような説明を記述した。 このように考える中で,実際に自分がタクシーに乗るとしたらどのぐらいの距離か,初乗り料金をいくらに設定すればお客さんが増えるのかなど,日常的な視点でより最適なプランを考える生徒もいた。各々が自分の考えを記入したワークシートは,学習支援ソフトのファイル共有機能で全体に共有した。 自力解決を行った後,他の生徒のプランを読み取る活動を行った。自分のプランと比較したり,他者のプランを説明したりすることで,多様な考え方ができることを知ることになる。 生徒が考えたグラフには,図3-18のように傾きが異なる三つのグラフを組み合わせてかいたグラフや,図3-19のように途中から傾きが変わりAプランと平行になるグラフなどもあった。一次関数の傾きや切片などの特徴に着目して複数のグラフを組み合わせるなど,様々に考えることができていた。 (3)振り返りからの分析 タクシー料金という生徒にとって身近な事象を取り上げ,一次関数の単元で学んだことを活用して新たな関数を考える活動を設定した。生徒の振り返りには次ページのような記述があった。 中学校 教科指導(数学科) 17

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