図3-14 生徒Iの考え方 図3-15 生徒Jの考え方 いいでしょうか」と問いかけることで,式,表,グラフで調べればよさそうだという見通しを全体で共有し,自力解決を行った。 距離が決まると料金がただ一つに決まるという関係から,料金は距離の関数である。指導者がグラフ用紙をファイル共有機能で共有して自力解決を行った。多くの生徒は,一次関数の単元の学習を生かし式をつくって値を代入することで料金を求めようと取り組み始めたが,式が複雑になるためにほとんどの生徒が正しい式で表すことができなかった。そこで多くの生徒が,表やグラフを作成して考え始めた。生徒Iは図3-14のように,距離をx,Aプランの料金をy(A),Bプランの料金をy(B)として表を作成して考えた。また,生徒Jは図3-15のように,共有されたグラフ用紙にグラフを手書き入力した。さらに,式をかき加えて,特徴やどのようなことが言えるかを考えた。 単元の学習で学んだ既習事項を活用し,最初からAプラン,Bプランそれぞれの正しい式や表,グラフをかくことができる生徒もいたが,何度もかき直すことで,正しい式,表,グラフを作成する生徒が増えていった。自力解決をした後,グループで交流し,友だちにどのように考えればよいかを尋ねながら,自分の考え方を確認したり修正したりした。 その後,二つの関数の式,表,グラフを関連付けることで,単元で学んだ既習事項を根拠として説明するとともに,どの時点までBプランが安くなるかを全体で確認した。 (2)条件に合った関数であることの理由を説明する (1)の問いに対して,生徒は式,表,グラフを関連付けて二つのプランを比べた。次の時間には,多様な考え方ができる次のような問いを設定することで,新たな状況と理由を考えて説明することに重きを置いた授業展開を考えた。 右のグラフはAプランの料金とタクシー会社の支出を表しています。Aプランと比べてお得なCプランを考えたいと思います。 5km未満がお得な「近距離利用者向け」 8km以上がお得な「遠距離利用者向け」 あなたならどのようなプランを提案しますか? 「近距離利用者向け」「遠距離利用者向け」のどちらかを選び,Cプランの内容とグラフをかいて説明しましょう。ただし,利用距離に関わらず必ず支出を上回り,会社にとっても利益が出るようなプランを考えましょう。 この問題に対する正解は一つではなく,多様に考えることができる。「5㎞未満がお得な近距離向け」「8㎞以上がお得な遠距離向け」という条件を付けることで,新たに考えるCプランのグラフがAプランのグラフとどこで交わればよいか,プラン内容を試行錯誤しながら考えた。作成の途中でグループの友だちに自分のプランを伝えたり,わからないことを質問したりして考えを進める生徒もいた。 中学校 教科指導(数学科) 16
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