図3-10 生徒Eが行った分類 図3-11 生徒Fが行った分類 この活動において,分類の仕方に正解はない。分類の仕方に共通点を見つけ,どのような視点で補助線を引くかということや,補助線を引いた結果,この単元で学習してきた平行線や多角形の性質を使えることに気付かせることがねらいである。こうすることで,新たな図形の性質を考えるときに,既習の図形の性質をもとに考えることができるようになる。 指導者からこの授業を通してどのような学びがあったかを問うと,生徒からは次のような反応があった。 ・一つの図形でも①いろいろな方法がある ・②補助線の引き方でいろいろな方法が見つかった ・今までの③既習内容を使ったらいろんな求め方ができる ・今まで習ったことを④組み合わせることができる 一つの図形でも,また補助線の引き方によっても多様な考え方ができることに気付いた生徒がたくさんいた(①②)。また,既習事項を使ったり組み合わせたりすることで考えることができた生徒もいた(③④)。補助線を引いてみる,考え方ボックスで既習事項を確認するなど試行錯誤して考える姿が見られた。補助線の引き方を工夫することで既習の図形の性質を見いだし,それを根拠に説明できたことが述べられている。 また,分類・整理する活動を通して,次のようなことに着目した生徒もいた。 ・⑤補助線にはいろいろなパターンがあって,それによって種類分けをすることができる ・項目の何がかぶっているかを考えることで⑥何を使って求めているかわかりやすくなっている ・⑦何を使ったかがわかりやすくなった 補助線の引き方という視点で分類ができたと感じる生徒(⑤)や,視点によって分類するよさに気付いた生徒(⑥),何を使ったか自分自身が見て理解しやすくなったと感じた生徒(⑦)もいたようである。分類・整理したことで,どのような性質を使った考え方であるのかが明確になったと考えられる。 これらの振り返りからは,新たな図形の性質を考えるときに既習の図形の性質を根拠に考えられるようになったことや,解決方法を図や式を用いて簡潔に表現し,説明することができるようになったことがうかがえる。図や式による表現を読み取る活動,解決方法を分類・整理する活動により,図形に関する見方・考え方についての理解を広げることができたと考えられる。 多様に考えることができる問いを設定したことで,生徒の思考が答えの求め方に向き,着眼点や考え方そのものを共有することで,思考の深まりが期待できる。つまり,先に述べた手立てを学習過程に取中学校 教科指導(数学科) 14
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