グループで交流した後,学習支援ソフトで全体共有した。そして,他者が提出した図や書き込みを見図3-6 自分の考えを伝え合う 図3-7 生徒Cの考え方 中学校 教科指導(数学科) 13 図3-8 生徒Dの考え方 図3-9 他者の考え方を読み取る に辺を延長した補助線を引き,角の大きさを書き込むなどして,「線を引くと三角形が二つできて,三角形の内角の和は180°だから」と,三角形の内角の和を根拠に説明した。 この二人の生徒は,どちらも同じような補助線の引き方をしている。しかし,生徒Cは三角形の外角の性質を使って説明し,生徒Dは三角形の内角の性質を使って説明している。補助線の引き方だけでは捉えられない考え方も,図への書き込みや,根拠となる性質を示すことで,異なった考え方であることを読み取ることができる。 このようにお互いの説明を聞き,説明に対して質問をしたり,他者からの指摘を受けて自分の考え方を修正したりする姿も見られた。記述したことをもとに友だちと考えを伝え合うことで,自分とは違う視点での考え方にも触れることができた。補助線の引き方によって多様に考えることができるので,自分の考えた方法だけで完結するのではなく,考え方を共有することを通して考える視点を広げたり,自分の考え方をよりよい方法へと見直したりすることにもつながったと考えられる。 て,どのような考え方をしているのかを予想し,グループで伝え合う活動を行った(図3-9)。 グループでの交流の中で生徒は「直線で分けたら角が六つあって,個々の角の和が215°ってわかるから,360°から引くと求められる」と図を示しながら説明したり,「対頂角を使ってるのかな」「同位角とか錯角,対頂角とかいろいろ使ってる」と根拠を示して説明したりする姿が見られた。中には「145°っていうのは合ってるんだけど,何やってるのかな」という疑問の声もあったが,「そういうことか」「なるほど」「すごくわかりやすい」というように他者の考えを見て,自分とは異なる考え方に対して理解を深めた様子であった。その後,全体で交流し,説明の中で根拠となる事柄を指導者が板書して共有した。 これらの活動により,複数の考え方を比較することで,同じような線を引いても,根拠となる考え方やその説明が異なることに生徒が気付くことができる。そして,他者の説明を読み取ったり,聞いたりすることで,様々な視点で考えることができるのである。 この活動を通して補助線の引き方に着目したり,使われている性質に着目したりすることができた。生徒は結果が同じでも多様な考え方ができることや,同じような補助線を引いても考え方が異なることもあるということを知ることができた。また,自分の考え方の他者への伝え方を工夫し,考えた過程を簡潔・明瞭・的確に説明しようとする姿勢にもつながったと考えている。 (3)多様な視点で分類する 自力解決で考えた個人の考え方を全体で共有し,多様な考え方から共通点を見いだし,学習支援ソフトの思考ツールを使って分類・整理する活動を行った。生徒Eは,次ページの図3-10のように「平行線の性質,外角の性質,三角形の内角の和,四角形の内角の和」という平行線や図形の角の性質に着目して分類していた。一方生徒Fは,次ページの図3-11のように「平行線,二等分線,延長線,上の3つのうちのどの線も使っていないもの」という補助線の引き方に着目して分類した。こちらは図の中に補助線を引くことで角の性質を使えるようにするという視点で分類していることがわかる。
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