こにいるんだろう?」と,迷子になった感覚に陥ることも多くあった。しかし,そんな時に「おーい,こっちだよ」と「外国語教育」といった原点を教えてくれるのが,実際の子どもたちの姿であった。来た道をまたたどりながら戻るといったことを繰り返してきたように思う。しかし,それを繰り返していくうちに,初めは単独に見えていた「外国語教育」が,いろいろなものとのつながりをもち,改めてそのよさを実感することがあった。 日常言語とは異なる「外国語」を通してだからこそ,自分のことが伝えられた実感や,相手のことを知ることができた実感を得やすいと感じる。外国語教育を通して「人とつながることの楽しさ」について,改めて感じてほしいと願う。 研究実践後,研究協力員の先生から次のようなエピソードを聞くことができた。学級内で読み聞かせ係を担当している子どもたちが、次にどんなお話をしようかと図書室で本を探しているとき,英語活動を通して慣れ親しんできた絵本の日本語版を見つけたそうだ。子どもたちはそれを手に取り,そのまま読み聞かせを行うのではなく,その絵本を見本に自分たちで一からオリジナルの紙芝居を作成して読み聞かせを行ったというのだ。その後,それを掲示していると,「Purple cat」など,英語活動で慣れ親しんできた様々な英語表現を口にしていたという。子どもたちの興味・関心は様々なところでつながっていて,今回の実践がそのきっかけを生み出し,また,英語活動の学習の枠を越えて児童が主体的に取り組んでいたことに喜びを感じた。 最後に,研究活動の趣旨を理解し,昨年度に引き続き教育実践に取り組んでくださった,京都市立洛央小学校と京都市立南太秦小学校の校長先生をはじめ,両校の研究協力員の先生方,研究に携わっていただいた先生方,いつも温かく迎えてくださった教職員の皆様,そして,改めて外国語教育の楽しさを教えてくれた子どもたちに感謝の意を表したい。 小学校 外国語教育 21 31
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