本単元では,「Who are you?」といった短いお話を繰り返し聞く中で,おおよその内容を理解することを目指すとともに,台詞をまねて,最後には自分たちでお話をアレンジして発表する活動を行った。3年生の学習の最終単元であり,児童がこれまでの学習活動で体験したことや慣れ親しんできた表現を活用するなど,児童の創意工夫を大いに引き出せるようにした。本単元を通して,これまでの学びの実感が得られることによって,4年生の外国語活動への期待や意欲を育めることが大切であると考えた。 今回の実践では,2校の研究協力員の学級間での交流を行った。これまで児童は「相手に伝わるように工夫すること」を大切にして,学習活動に取り組んできた。お互いにこれまでの学びの成果を発表し共有することによって,高め合おうという課題意識をもって取り組めるようにした。 図3-7 やり取りを楽しむ児童の様子 ・はっきりと ・聞き取りやすい声で ・理由 ・同じ量を話す 図3-8 メッセージビデオを視聴している児童の様子 小学校 外国語教育 13 実際の単元終末の活動では,図3-7に示すように,児童は相手によりわかりやすいように声の大きさや提示の仕方を工夫したり,単に好きなものを伝えるだけでなく,紹介したものに関連して「Do you like ~?」と問いかけたりしている姿が見られた。聞き手も,相手の紹介に対してうなずいたり相手の問いかけに対して返答したりしながら,活動に取り組む様子が見られた。 中間評価の場面では,右に示すような工夫が児童から出された。特に「理由」については,今回自分の姓名の頭文字を伝え合うだけでなく,自分のお気に入りのものを伝えるという設定を行ったことで,本当に自分の好きなものだからこそ伝えたい,相手のことをもっと知りたいといった思いが表れたのではないかと考える。まだ英語を使って理由を伝えることは難しいが,言葉によるコミュニケーションに対する意欲の高まりを感じた。個々に伝えたい内容が異なっているからこそ,互いの「伝えたい」「知りたい」といった思いが高められ,主体的にコミュニケーションを図る児童の姿が見られたと考える。 また,今回は学習支援ソフトの生徒間通信機能を生かし,実際に自己紹介カードを贈ることができるようにした。今までなら,作成できる量も限られていて,交流できる人数にも限りがあったが,GIGA端末を活用することで,「コミュニケーション」にかける時間も多くあったように感じる。一枚のカードをたくさんの友だちとすぐに交換することができ,それぞれに異なった素敵なカードを交換しながら楽しんで取り組んでいる様子であった。 第3節 3年生の実践 Unit9「Who are you?」~これまでの学びの総体として~ 【単元について】 単元の目標 短い話を聞いておおよその内容がわかるために,反応しながら聞いたり,相手に伝わ るように台詞をまねて言おうとしたりするようにする 【実践の実際】 児童の「伝えたい」「知りたい」「やってみたい」という気持ちを高めるきっかけとして,まず初めに各校でメッセージビデオを作成し,お互いに視聴し合った。図3-8がその時の児童の様子である。メッセージ内容としては,自校についての紹介とともに「What food do you like?」「Do you like ○○?」など,自分たちが英語で表現できるようになったことを使って問いかけたり,視聴している児童は,問いかけに対23
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