これまで述べたように,主体的にコミュニケーションを図ろうとする児童の姿を目指し,本研究では児童自身が主体的に学習に取り組もうとする「学びに向かう力」に着目し,その育成に向けて研究を進めていく。 第4節 本研究の構想 その中で, 図2-3の本研究の研究構想図にあるように,児童の知的好奇心が高められるような課題設定の工夫を行うとともに,あらゆる場面で児童が自己選択・自己決定することを大切にしていく。また,単元を通して指導者は児童の「学びに向かう力」をしっかりと見取り価値付けていくとともに,児童自身も同じ視点で振り返りを行っていくことで,児童の意識付けにつなげていく。 本章では,実際に研究実践に取り組んだ単元をいくつか取り上げ,第2章で述べた手立ての具体と実際の児童の様子について紹介していく。 第1節 2年生の実践 Unit3「絵本をしょうかいしよう」~学ぶ環境を豊かにして~ 【単元について】 単元の目標 互いのことを知るために,相手に伝わるように工夫しながら,お話を紹介するようにする 本単元は,「Brown Bear, Brown Bear, What Do You See?」の読み聞かせを繰り返し聞く中で,絵本の内容を推測しながら聞いたり進んで英語を発話したり,指導者とのやり取りを楽しんだりして絵本に登場する動物や色の英語表現,繰り返される文表現に慣れ親しんでいく。そして単元終末では,児童が自分たちでお話をアレンジし発表する活動を設定した。 昨年度は「1年生のために」といった単元のめあてをあらかじめ指導者が示し,単元の学習を進めていった。しかし,児童がより主体的に活動できるように,今年度は「誰のために」「何のために」を児童自身が考える場面を大切にするとともに,児童の思いがより反映されるように表現内容や表現方法,学び方などを自己選択・自己決定できるようにした。 表3-1は本単元計画である。全5時間のうち第2時から第4時では,「色や動物の言い方を聞いたり言っ第3章 研究実践の実際 図2-3 本研究の研究構想図 表3-1 2年生Unit3単元計画 小学校 外国語教育 9 (6) 前掲(3) pp.44-45 (7) 高島英幸『児童が創る課題解決型の外国語活動と英語教育の実践-プロジェクト型言語活動のすべて-』高陵社書店 2014.1.31 p.42 (8) 東野裕子 高島英幸『プロジェクト型外国語活動の展開―児童が主体となる課題解決型授業と評価』高陵社書店2011.6.9 p.13 (9) 杉山尚美 加納誠司『新しい教育課程で目指す「学びに向かう力,人間性等」についての研究』愛知教育大学教職キャリアセン ター紀要 vol.4 2019.3 p.4 (10) 前掲(1) p.28 (11) 中山芳一『家庭、学校、職場で生かせる!自分と相手の非認知能力を伸ばすコツ』 東京書籍 2020.7.3 pp.30-34,p.61 19
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