ンターネットの回線速度によって動画の再生がスムーズにいかない場面もあったが,児童らは友だちの考え方や説明の仕方に関心を寄せながら視聴していた。授業後に児童に話を聞くと「共有フォルダの友だちが撮った動画を観ると,それぞれの解き方があって,いろんな人の意見がわかった」と答えていた。 集団解決では,順序立ててわかりやすく説明をしている友だちを推薦し,大型TVで動画を視聴する形で行った。考え方の板書は動画を再生している間に,指導者が行うようにした。おさえたい考え方をしている児童の動画を指導者が意図的に流すことで,指導内容の漏れがないように配慮した。 今までの図形単元では,児童が黒板でかき方を説明する形で行うことがほとんどであった。指導者用のコンパスや定規がうまく扱えず,かき表すことに多くの時間を費やす場合もあった。しかし,GIGA端末を活用した動画作りの活動を設定することにより,「待ち」の時間がほとんどなくなり,必要な言葉や説明する順序について考えたり,動画を視聴し一人一人がよりよい表現の仕方について考えたりするなど,常に思考を働かせることができていた。全体の前で発表することに抵抗がある児童にとっても説明するハードルが下がるという効果があった。提案する柔軟な授業デザインとGIGA端末を活用した説明動画作りは,相手意識を生み出し,簡潔・明瞭・的確に筋道立てて説明するために,思考し続ける姿につながったのではないだろうか。 第2節 適応題での実践 適応題の場面では,本時で学んだことを確かめる確認問題を行った後,練習問題・発展問題(デジタルドリルを含む),問題作り,説明動画作りの三つの課題の中から自分で選んで行えるようにした。課題の選び方は学年によって特徴が見られた。 など,数学的な見方・考え方を働かせて問題を作っていた。 個人差はあるが,高学年になるほど学習したことを生かして問題を作れることや新たな考え方を得ることに楽しさや面白さを感じ,自分の学びに合った課題を選んでいた。自分に最適な課題を選択できる小学校 教科指導(算数科) 17 3年生や4年生は,デジタルドリルを選ぶ児童が多かった。以前は「先生,終わったけどどうすればいいですか」という声が上がることがあったが,様々な課題を選択できることによって時間を余すことなく問題に取り組んでいた。しかし,選んだ学習課題に目的意識はあまりなさそうであった。3年生や4年生の発達段階では,自分に合った学習課題を選ぶことはまだ少し難しそうであった。 一方で5,6年生になると,選択する課題は個々によって様々であった。練習問題を選んだ児童に理由を聞くと「紙の方が頭で整理ができるから」と答えていた。 同じ時間に問題作りを選んだ児童は「自分で問題を考えるのが楽しい」「友だちが考える発展的な応用問題を解くのが楽しい」と答えていた。図3-11に示す2つの問題は児童が作ったものである。言葉や情報が足りない場合もあるが,場面をイメージする必要があったり,他単元の考え方を取り入れたりする図3-10 考え方や説明の仕方を確認する様子 図3-11 児童が作った問題 ※「底面」とは「底面積」の意味を表している 77
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