小学校 教科指導(算数科) 14 図3-4 D児の考え方 図3-5 友だちと自分の考えを比較している様子 74 図3-3 ヒントカードとヒントカードを使う児童の様子 したヒントカードはどうしても自分では解けない児童だけが使用していた。使用したヒントカードとそれを使って考える児童の様子を図3-3に示す。 ヒントカードを送ることによって,まず何から考えればよいのかが明確になり児童の手が動き始めた。児童の中には,最後までヒントを見る児童もいれば,ヒント①のカードのみを見て,後は自分で考えるといった児童もいる。ヒントカードは児童が思考を働かせるきっかけをつくり出した。その間,指導者は低位層を中心に支援を行ったり,学び合いに移った児童の説明を聞いたりしていた。 学び合いでは,クラスの9割ぐらいが説明し合うことができていた。C児は考え方①をしていた。自分が出した「0.5」という数字は正解と思われる答えだが,なぜ「0.5」になるのかは理解できていない様子であった。D児はC児と同じ考え方をしながらも,図3-4の図を使って「20」の数字の意味や答えが「0.5」になる根拠を説明していた。C児はそこで自分が10倍した「20」の意味を理解した様子であった。図3-5は,C児がファイル共有機能を使って考えを比較し,D児の考えを自分の言葉で説明し直す様子である。C児はその後,別の友だちと説明し合うことになったが,先のD児の説明で理解した考え方をもとに,学習支援ソフトで図をかきながら,10倍した「20」の数の意味,「0.5」がなぜ正しい答えなのかを,筋道立てて説明することができていた。 一方で,指導者は意味が理解できない児童を見つけると,わかりやすく説明できる児童のところへ促したり,「20」はどういう意味か質問したりするなど,児童の理解を深めるために,児童同士をつないだり,追発問を行ったりしていた。追発問に対して説明できない児童は,その理由を考えたり友だちに話を聞きに行ったりしていた。 学び合いの終盤になると,「20÷4の20ってどこから出てきたん?どういう意味?」と,児童同士で考えの根拠の説明を促す場面が見られた。また,教室のところどころで説明も理解も十分できた児童が練習問題に取り組み始めるなど学びが複線化していた。指導者は児童の考えがある程度深まったことを見取り集団解決に移った。 集団解決では,考え方を確認する程度で終えることができた。最後に本時のまとめを一人一人にさせたが,ほぼ全員が自分なりにまとめを書くことができていた。 今回の授業に限らず学び合いの中で「なんでそうなるん?」「○○さんの考えってこういうこと?」と聞き直す場面が見られた。その繰り返しにより,意味理解の伴った説明に変わっていくことができていた。学び合いの中でも指導者の支援や追発問が必要であるが,児童同士でも十分に理解ができると考えられる。初めから自分の考えが正しかったり,筋道立てて説明できたりするわけではない。学び合いの
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