小学校 教科指導(算数科) 10 70 図2-5 学び合いポイントカード (右は拡大したもの) ④学び方を自己選択する 適応題の場面は,学び合いで得た学びを確かめたり,発展的に考えたりすることで理解を深める場である。本研究では,学び合いの延長線として以下の取組を自己選択できるようにする。 ア:練習問題・発展問題(デジタルドリルを含む) イ:問題作り ウ:説明動画作り イの問題作りは,本時で学んだことを生かして問題を作ることである。問題作りは非常に高度な表現活動であるが,児童にとっては考える楽しさを創出できる活動であると考える。学習支援ソフトの共有機能を使うことによって自分の作った問題を友だちが解く。友だちの作った問題は,本時で学んだ考え方を発展的に考えたり過去の学習と組み合わせたりするものもあるだろう。そういった,自分の発想にはなかった数学的な見方・考え方を友だちの作った問題を解くことによって学ぶこともできると考える。 ウの説明動画作りは,学び合いで得た学びを整理し,自分の言葉で説明する動画を作ることである。秋澤と植阪は,授業中に学習したことを説明するなど,アウトプットする時間を設けることにより,深い理解につながったと述べている(15)。このことからも,理解したことをもう一度言語化し,アウトプットすることで説明する力が伸び,理解が深まると考える。 以上のように,様々な学習活動を提供することで,児童は自分に合った学習活動を選び,常に思考し判断し表現し続けることになるだろう。児童自身で学びを深めていくことが,「思考力,判断力,表現力等」の育成につながっていくと考える。 (3)指導者の役割 本研究で提案する授業デザインを取り入れることによって,児童自身で学びを進めていくことができる。しかし,小学校の児童の発達段階を考えると,自分の能力を的確に把握することや,わかりやすく説明する力があるとは限らない。提案する授業デザインは,児童に学習を全て任せるのではない。指導者が児童の学習状況を見取り,授業のねらいが達成できるように支援をしていくことが必要であると考える。そこで,提案する授業デザインでの指導者の役割を次ページの三つに整理しそれぞれについて述べる。 アの練習問題・発展問題(デジタルドリルを含む)は,全学力層の児童が学びの確かめとして取り組むことができる。上位層の児童は,与えられた問題を早く解いてしまい「待ち」の状態が生じたり,低位層や中低位層の児童は難易度が高かいことで思考が止まったりすることがある。デジタルドリルも活用しながら,自分に合ったレベルの課題を選択できるようにすることで自分のペースで学習することができ,常に思考を働かせし,学びを進めることができると考える。
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