611 R3最終稿【椙村】
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図 小学校 教科指導(算数科) 9 問 1きゃくに4人すわれる長いすがあります。クラスの人数は30人です。全員がすわるために長いすは少なくとも何きゃく必要ですか。 (式) ①30÷4=7あまり2 ②7+1=8 A.8きゃく <考え方> あまり2は人の数 ①7は4人ずつすわっている長いすの数 ②2人がすわるいすを1たす ②根拠をもとに筋道立てて考える ○考え方ボックス 児童の表現力を育成するためには,なぜその答えになったのかを図式化して根拠を示したり,考えを整理し筋道立てて説明したりすることが必要である。しかし,児童は様々な考え方を学習しながらも,関連単元の期間に隔たりがあったり,前の学習とうまく結び付けられなかったりすることで,学んだ考え方を活用できないことが多い。そこで,根拠を示して説明できるようにするために,今までに学んだ図式化された考え方を図2-3(以下,考え方ボックス)のようにまとめ,いつでも考え方を取り出して活用できるようにする。図2-3の考え方ボックスは,アレイ図や線分図,関係図など,児童が今まで学習した考え方を学習支援ソフトのクラウド上の個人フォルダに蓄積したものである。図式化された考え方を使い,何に着目したのか,なぜかけ算をするのか,どの部分を求めたのかなど,考えの根拠を明確にする。図式化したものを使って考えることで,自身の考えが整理され,説明する相手にもわかりやすく伝えることができるようになると考える。 ○順序立てる 筋道立てて説明できるようにするために,考えを順序立てることが必要である。自力解決時に,解を求め終えた児童に対して,考え方をノートに書くように指導することがよくある。しかし,ただ単に計算の仕方を説明していたり,考え方が長文になりわかりづらい説明となっていたりする児童が多い。そこで図2-4の図横に示す①②のように,式や答えの意味,考え方など,解に至るまでのプロセスを分割し,大事なことのみを書き表すように指導する。このように思考の過程を分割し,大切な考えを簡潔に順序立てていく活動の繰り返しによって,筋道立てて考える力や説明する力が伸びていくと考える。 ③柔軟に表現する ○学び合いポイントカード 新しい授業デザインにより,自力解決を終えた児童から学び合いに移行する。思考の過程を簡潔に書き表したものをもとに,自分の考えの根拠を明確にしながら自力解決を終えた児童同士で話し合う。しかし,話合いの場を設けただけでは,自分の考えを話すだけの発表会に終始してしまい,数学的活動にならないことが考えられる。そこで,話合いにおいて,どのような活動をすればよいのか,何に着目すればよいのかなど,次ページの図2-5に示す学び合いのポイントを明示したカードを使用する。 図2-5の学び合いポイントカードには,説明の仕方以外にも,答えが違った場合に「どうして答えが違うのか」「どこで間違いが起こったのか」を話し合うなど,学び合いにするためのポイントが書かれている。また,答えが同じであっても,「よりはやく,簡単で,わかりやすい方法」「共通して考えられること」など,統合的に判断して考える活動を促すようにしている。こうすることで,考えを伝えるだけの発表会になることを防ぎ,児童同士の協働的な学びによって,表現する力を伸ばせると考える。 図2-3 考え方ボックス (今回は筆者が作成したものを例に挙げる) 図2-4 考え方を順序立てて書くノートの例 69

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