111 た効果的な学習方略を指導者やクラスメイトから効率的に獲得することができるようになる。例えば,家庭で学習している際にどうしてもわからない問題があった時に,ファイル共有機能を使えば,それぞれ家庭にいながらクラスメイトと一緒になって問題を解くことができる。また,指導者を含めたクラス全員でグループをつくり,チャット機能を利用することで,お勧めの学習方略をクラス内で投稿し合うこともできる。互いに学習方略を共有し合うことで,既にいくつかの学習方略を備えている生徒もそうでない生徒も新たな方略を得ることができるであろう。 (2) 客観的な情報を活用してメタ認知を働かせる 学習の自己調整において自身の学習状況を客観的に把握することは,予見,遂行コントロール,自己省察のいずれの段階でも必要となる必須のスキルだといえる。 本研究では,自らの学習状況を客観的に把握するための情報として,生徒自身で学習の計画を立て,記録を残していくようにする。その際には大量の学習情報(学習時間,内容,方略,テスト等の結果など)を収集,蓄積することが必要であり,その情報は後で分析しやすいようにグラフ化されたものの方がよい。しかし,これまでのプリントや手帳を活用した方法では,これらの大量の情報を効率的に収集し,編集することは難しい。そこで,GIGA端末を活用し,生徒が個々にクラウド上の個人フォルダで管理できる学習計画・記録用ファイルであるセルフマネジメントシート(以下SMSという)を活用する。 SMSは表計算ソフトで作成し,生徒が面倒だと感じないように日常的に入力する項目は学習時間,内容,方略のみというシンプルなものにする。図2-1は学習の計画と実際に学習した記録を残すためのシートであり,シートはタブでひと月ごとに設定されている。学習時間については入力すると自動計算され,図2-2のように瞬時にグラフ化され,客観的にかつわかりやすく学習状況を把握できるようにしている。また,別のタブには定期テストや単元テストの素点を入力するシートも用意してお図2-1 SMS 学習の計画と記録を入力 図2-2 SMS 月ごとの教科別学習時間 中学校 情報教育 7
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