613 R3最終稿【久保田】
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(3) メタ認知 メタ認知とは自分の思考や行動を客観的に理解することであり,この働きを通した学習の調整により効率的かつ効果的に学習を進めていくことができる。そのためには,生徒は自身の学習状況(学習の進み具合や行っている学習方略の有効性,学習へのモチベーションなど)をモニタリングし,コントロールしていかなければならない(メタ認知的活動)。例えば,目標を設定し目標達成に向けた計画を立てた(プランニング)とする。立てた計画どおりに学習を進めてみたところ次第に計画に遅れが生じていることがわかった(モニタリング)。その結果,学習する順序を変えてみたり,学習方略を変更したりするといった計画の見直し(コントロール)をすることがある。 ② リハーサル・記憶方略 ③ リソース活用方略 ④ 体制化方略 ⑤ 意味理解方略 ⑥ 関連づけ方略 ① メリハリ方略 ③ 整理方略 ④ 内容方略 ⑤ 報酬方略 ⑥ 社会的方略 ⑦ 想像方略 ① プランニング方略 108 表1-1 学習方略 認知的方略 自己動機づけ方略 メタ認知的方略 しかし,ここで問題となるのが「どのようにして自身の学習状況を把握するのか」「どのようにして課題の分析を行い,目標を設定し計画を立てるのか」「どのようにして学習を調整するのか」といった学習を自己調整するためのメタ認知的方略を生徒がもつことができていないことである。自己調整学習をスムーズに進めるための動機づけ,学習方略,メタ認知の三つの要素は相互に関わり合っているものであり,個別に作用するものではない。つまり,メタ認知的方略をもつことができていなければ,適切なプランニングやモニタリング,コントロールを行うことができず,最適な学習方略を選択することも,動機づけの高まりにつなげることも難しくなってしまう。生徒が自身の学習状況を客観的にモニタリングするための情報やモニタリング後の調整の支援が必要となろう。 中学校 情報教育 4 ① 援助要請方略 ② 負担軽減方略 ② モニタリング方略 ③ 調整方略 自分自身の記憶や思考など認知的なプロセスを調整することで効果的な学習を促す方略のことである 友だちや先生,親などの他者からの援助を受けたりすることで,理解や思考を深める方略 学習内容を覚えるために,くり返し暗唱したり,反復して書いたりする方略 図や表などを活用したりすることで,理解や思考を深める方略 複数の学習内容を分類・整理しながら関係をもつようにまとまりをつくる方略 解き方・考え方を確かめながら,学習内容の意味を理解し,思考を深める方略 今までの学習内容と関連づけ,日常生活と関連づけることで,内容理解を深める方略 学習に向けて自らの意欲を高めるために,用いる方略のことである 学習時間の区切りをうまくつけて集中力を高める方略 得意なところや簡単なところから勉強したり,あきたら別のことをしたり,休憩したりしてやる気を高める方略 ノートのまとめ方や,部屋や机などの環境を整えることでやる気を高める方略 学習内容を身近なこと,よく知っていることや興味のあることと関連づけてやる気を高める方略 親や先生などからのごほうび(飲食や金銭的なもの)などでやる気を高める方略 友だちとともに学習をしたり,友だちや先生に相談したりしてやる気を高める方略 将来のことを考えたり,積極的な思考をしたりしてやる気を高める方略 自分の思考や行動を客観的に把握し認識すること(メタ認知)を通じて,自己調整によって学習の効率化を図る方略のことである 課題を分析し,目標を自ら設定して,目標達成に向けた計画を立てる方略 自分で設定した目標や計画が予定通りに進行しているかどうかを定期的に確かめながら,目標達成に向かって学習を進めていく方略 必要に応じて自分で設定した計画や方略を修正したりしながら,目標達成に向かって学習を進めていく方略

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