第1節 成果と課題 (1) 生徒へのアンケートと聞き取りから 生徒(中学2年生)に対して,学習習慣や学習の進め方についてのアンケートを実践の前後に行った。また,聞き取りは事後に行い,今回の研究実践による生徒の学習の変容を検証した。 122 図4-2 学習の計画や方法を調整できていると認識している生徒の人数の変容(左:事前 右:事後) 図4-1(事前n=147,事後n=153)は授業以外の平日の学習時間を表したグラフであり,実践の前後の学習時間の変容がわかる。 実践前でも平日に毎日2時間以上は学習しているという生徒が一定数存在している一方で,学習時間が1時間未満という生徒たちも数多くいた。しかし,実践後は学習時間が1時間未満という生徒たちが減少し,2時間以上勉強している生徒の人数が実践前よりも増えている。 生徒の学習が実践前よりも習慣化したのは,事後アンケートを実施した時期が定期テストの後だったことも考えられるが,生徒が学習方略を獲得したこと,メタ認知を働かせたこと,そして,動機づけを高めたことと無関係ではないと考えられる。 下の図4-2(左:事前n=151,右:事後n=156)によると,実践前でも自分なりの自己調整を行いながら学習することができている生徒が一定数いたことがわかる。しかし,それよりも学習の計画や方法を改善することが「あまりできていない」や「できていない」と答えていた生徒の実践前後での人数の変容に注目したい。実践後は必要に応じて学習の計画や方法を改善することができていない生徒が大幅に減っている。この結果から,生徒たちは実践前よりも学習方略をもつことやメタ認知を働かせることができており,自己調整を行いながら学習を進めていたと考えられる。 このことを裏付けるために,生徒への聞き取りを行った。「今回の実践を通して,学習時間は増えましたか?その理由は何ですか?」という質問に対する回答は以下のとおりである。 生徒D:僕はもう単純に,けっこう前回(9月に行った定期テスト前の学習)と比べて勉強時間は増えたと思います。いろいろな勉強方法を取り入れるってことをして,僕も社会とかいろいろな教科の勉強をするときに取り入れた勉強方法をプラスして付け加えたので時間が増えたと思います。 その人(クラスメイト)は社会で先生が配ってくれるプリントを何周もするという勉強方法をし ていて,それをやってみようと思って,2周ぐらい勉強をしました。 第4章 実践を通して見えてきたこと 図4-1 平日の学習時間の変容 図4-1 平日の学習時間の変容 中学校 情報教育 18
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