613 R3最終稿【久保田】
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120 イスは量的にも質的にも限られてしまう。そこで,この遂行コントロールの段階では以下の活動を行うこととした。 知っている?教科の魅力を再発見! この活動では,国語が好き(得意)な生徒を国語グループといったように教科ごとに分け,その教科を学ぶ上での魅力やお勧めの学習方略を発表し,他教科グループに紹介する活動を行った。その教科が好き(得意)だという生徒は,その教科を学ぶことに何らかの価値を感じていると考えられる。例えば,教科を学ぶことと普段の生活や自分の将来に必要なこととのつながりなどから,学ぶ価値を見いだしている生徒もいるであろう。そのような生徒の学習の意欲は高いであろうし,独自の学習方略を実行している可能性があると考え,このような活動を行った。 指導者は学習支援ソフトのアンケート機能を活用し,生徒の希望を聞いた上でスムーズにグループ分けを行っていた。また,意見を出し合う際にはファイル共有機能を活用し,指導者が用意した思考ツール(四象限マトリクス)に自分の意見を当てはめ,動かしながらグループで意見を構築した。ちなみに四象限には苦手な生徒でも共感できそうな魅力かどうか,教科ならではの魅力かどうかという視点を設定した。以下は英語科を学ぶ魅力の抜粋である。 〇授業で英語の曲をかけたりするので,楽しく学べる。 〇長文読解は難しいけど,読み切ることができて解けた問題が正解していた瞬間がスッキリする。 〇英語の曲や映画の理解ができる。 〇国境を越えてしゃべれる言語を学べる。 多くの生徒は根拠を示した上で好きや面白いと思っている理由を出し合ってはいたが,教科を学ぶ魅力を普段の生活や自分の将来に必要なこととのつながりに見いだし,価値付けている意見はなかなか現れなかった。やはり,生徒の大半は学習の動機づけとして目の前の学習内容の理解や課題の達成に魅力を感じていると考えられる。次に英語グループの生徒が他の教科グループの生徒に勧めた学習方略を挙げる。 〇ワークを解き続ける。 〇単語帳を使用する。 〇英語の映画を鑑賞する。(日本語の字幕付きで日本語の意味を添えて楽しむ) 〇スマートフォンの英語学習アプリを使用する。(ゲーム感覚で楽しめて,気軽に勉強ができるから) 生徒からは問題集や授業プリントを活用した学習方略が挙がることが多かったが,中には学習アプリを利用するといった新しい提案をしたグループもあった。新しい学習方略を取り入れている生徒もいる一方で,限られた学習方略のままの生徒もいる。指導者やクラスメイトからの学習方略の支援は今後も必要となるであろう。 第4節 自己省察の段階で 本研究では自己省察を行うタイミングを11月中旬に行われた定期テスト後とした。その理由は,これまで学習してきた記録という情報だけではなく,生徒が学習の成果を実感できる情報として定期テストの結果を活用しようと考えたからである。 図3-9 グループで教科を学ぶ魅力を考える 中学校 情報教育 16 図3-10 四象限マトリクスを使って教科を学ぶ 魅力をクラスで共有する

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