① 生徒に実践の目的と活動の具体を明示する。 ② 学習計画・記録用ファイルについて説明する→SMSという名称が付けられた。 ③ 指導者より学習支援ソフトのチャット機能で送信されてきたSMSを生徒は自分のクラウド上に保存 ①生徒に実践の目的と活動の具体を明示する 実践校では,これまでも定期テスト前に学習計画表を配り,生徒がテストに向けて計画的に学習を進めることができるように指導が行われてきた。しかし,本研究実践ではSMSを活用して定期テスト前だけでなく,日常的に学習の計画を立てながら学習を進めていき,学習した時間や内容,方略(実際は問題集を使って勉強することや教科書を読むことといった一般的な学習方法)などを記録していくこととした。また,その記録した学習情報を分析することで,自身の学習状況を客観的に捉えて日常的に学習を調整することも行っていく。 ④ 実際に生徒がSMSを操作し,入力する練習を行う。 ⑤ アンケートを実施し,どのような学習方略を活用して学習を進めているのかを調査する。 ⑥ 学習支援ソフトの課題機能を利用して,生徒個々にSMSを指導者に提出する練習を行う。 ⑦ 架空のモデルを使い,生徒は学習情報を分析する練習と分析結果に基づいたよりよい学習方略につする。 いて考える。 そのため,実践を始める前にこれまでの計画表ではなく,SMSを使って学習の計画を立て,日頃から学習した記録を残していく目的を伝えることとした。 具体的には,生徒が実践に取り組むことに魅力を感じることができるように目指す姿を示し,実践の目的を生徒に明示することにした。また,図3-2にあるような「もう少し早くから勉強しておけば・・・」「何から勉強したらいいのわからない」などといった,多くの生徒が定期テスト後に一度はつぶやいたことがあるような学習上の悩みを紹介し,「みんなも同じようなことはないかな?」と生徒に問いかけた。多くの生徒は「あるある」といった共感した表情を見せており,「俺のことだ」と大声で発言する生徒もいた。一方,既にある程度の自己調整を行いながら学習を進めることができている生徒がクラスにいることも予想できたので,そのような生徒に対しては「もっと効率よく勉強したいと思っている生徒もいるのでは?」と問いかけた。そうすることで,本実践が成績下位層から上位層までの幅広い生徒の学習上の悩みを解決することができる有用な取組であることを生徒に意識付けた。 次に学習を自己調整していく流れを説明することとした。自己調整学習は予見の段階,遂行コントロールの段階,自己省察の段階という三つの段階を循環させていくプロセスであるが,生徒には活動を具体的な表現で示した方がよいと考え,図3-3を使って説明した。その際,生徒には自身の学習情報を収集することやその情報を分析することの重要性を伝えた。この問題解決・探究における情報活用能力を習得・発揮することにより,自分の学習の進め方の良し悪しなどを把握することができ,効率的に学習を進めることが可能となる。以上の生徒への明示は,生徒が実践を進める前の動機づけを目的として行ったものであり,その後,自身の学習情報を記録し,学習の進め方を客観的に把握するためのSMSの説明を行った。 115 図3-2 定期テスト後によく出てくる反省 図3-3 生徒に示した学習を進めるサイクル 中学校 情報教育 11
元のページ ../index.html#13