112 図2-3 SMS 定期テストの得点の推移 図2-4 SMS 評価の観点別に示した得点率 り,入力すれば図2-3,2-4のように得点の推移や評価の観点別の得点率が瞬時にグラフ化される。生徒はこのSMS一つで自身の学習状況を把握することができ,学習時間という情報のみに頼る分析を避け,内容や方略,テスト結果といった複数の情報を活用した精度の高い分析が可能になる。 一方で,数字や文字を入力すれば,それで分析ができたことにはならない。そのため,図2-5で示した分析用シートを用いて,分析する際の視点を明示し,比較や推移,関連付けといった分析をすることができるように支援していく。このような情報の整理・分析の経験を積むことで,生徒は決められた項目に従ってただ入力するのではなく,いずれ目的に応じて自ら情報の収集や選択をしたり,統計的な分類をしたりするといった高次な情報活用能力を身に付けていくことができるであろう。また,学習した方略を記録していくことは,後で分析を行う際に自分が選択した学習方略を評価することにつながり,学習を自己調整していくための大切な情報となる。 そして,GIGA端末を活用することで,計画や記録を記入するプリントとテストの答案,結果を分析したプリントなど,これまで別々になっていた情報を生徒はまとめて管理することができる。そのため,情報を探し出す際の無用な手間を省いたり,情報を紛失するリスクを減らしたりすることができるであろう。 さらに,学習支援ソフトのファイル共有機能を利用してSMSを指導者とやり取りすれば,生徒は適時に指導者から学習方略を獲得したりメタ認知を働かせたりするためのアドバイスを受けることができる。指導者側のメリットとしても,これまで把握することが難しかった生徒個々の学習状況をモニタリングすることができ,タイミングを逃さずに必要に応じた指導を行うことが可能となる。 (3) 動機づけの高まりにつなげる どのように学べばよいのか学習方略をもつことができていなければ,そのうちに生徒の動機づけは低下してしまう。また,メタ認知を働かすことができていなければ,適切な学習方略の選択もできず,やはり動機づけの高まりにつながらないであろう。一方で,動機づけだけを高めても,学習の成果が上がるとは限らない。 筆者が現場で指導していた時,「なぜ勉強をしなくてはならないのか」と疑問を持ちながら学習を進めている生徒や「どうせわからないし」といって学習することを半ば諦めてしまっているような生徒と多く出会った。このような生徒も定期テストや受験といった外発的な動機づけ(「やらなければ」と思い,勉強をしているので自律性が全くないわけではない)によって,自分なりにではあるが学習を少しずつ進め図2-5 分析用シート 中学校 情報教育 8
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