① 問題解決のアプローチの自覚を促す意図で使用した見えるーぺが,多面的・多角的に事象を捉え② 大人に比べてまだまだ生活経験の少ない生徒であっても,多面的・多角的に事象を捉える力は, 他にも,多面的・多角的に事象を捉えることができるようになることと社会科が面白いという生徒の受け止めは相関する可能性があることもアンケート結果から確認できた。多面的・多角的に事象を捉えることについて言及する生徒たちの中に,社会科は難しいと感じている生徒はいても,社会科は面白くないと感じている生徒は見られなかったのである。 また,「これ(見えるーぺ)のおかげかわからないけれど,別々のものがつながって覚えやすくなった気がする」というように,生きて働く知識や見方・考え方を単純化した見えるーぺが個別の知識の精緻化を促す効果があることを示唆する意見も複数述べられた。 (3)小中の学びをつなぐことの可能性 実践の振り返りで,「指導者が進めてきた授業と小学校時の授業との違い」について生徒に口頭質問した場面では,次のような意見が述べられた。 (2)生徒の意識の変化と付いてきた力 実践後,社会科に対する教科観や付いてきたと感じる力,その力の汎用性などについて生徒にアンケートを行った。そこでは「社会科はできるだけたくさん覚える教科」という暗記科目と認識する回答よりも,「社会科は頭に入れるのではなく,身に付ける実技教科である」「視野を広げて考えるための教科」などの回答が多くを占めた。生きて働く知識や見方・考え方を習得・発揮する実践が,社会科は様々な生活の場面でも使えるようになることを目指す教科であるという生徒の認識につながっていると感じることができた。 また,社会科は「いろいろな場面で役立つ」とした生徒は,その理由を次のように語った。 このように,見えるーぺという言葉を用いて回答する生徒は少なくなかった。そして,そうした生徒の多くが「いろいろな視点」「いろいろな角度」「たくさんの方向」といった表現を用いて,学習していることが実生活でも有用であることを説明していた。 こうした生徒の回答傾向から考えられることは次の2点である。 る力を高めるツールとして機能する可能性があること。 実生活にも役立てられそうだとイメージしやすい可能性があること。 があるという意見が多く聞こえてきた。 これらの生徒の声を肯定的に捉えるならば,昨年の実践で得られた一定の成果は,小中間が共通の目的をもって授業改善を進めていくことで,目指す資質・能力をより高めることができるという見方もできそうである。 36 授業の中で先生が虫眼鏡(見えるーぺ)を使って地域とかお金とか宗教とか,そういういろんな視点から「一つの物事には一つの面しかない」という考え方ではなくて,いろんな視点から見ているとそのことをよく読み取れて,くわしくなったり他のものとつなげたりして,それを生かすことができると考えたからです。 ・小学校の授業は,もっともっと自分たちで調べて考えを出し合ってみんなでやっていた。 ・小学校の時は,学習問題も自分たちが出し合ってなかったかな…。 ・自分は〇〇さんと同じ学校だったけど,そういう感じの授業ではなかった。 ・自分のところは“ザ・一問一答”っていう感じだった。 ・中学校の方が細かいところまでやっていてしんどい。だけど,出来事と出来事のあいだがわかるから楽しい。 ・自分の学校では先生がまとめていたものをひたすら写していた気がする。 ・よくテレビ(動画)を観ていたことは覚えているけれど,中身までは忘れた。 ・最後によく新聞とか作ってまとめたりしていたことは覚えているけれど,内容までは覚えていない。 ・こんなふうに,どんな力がついたとか意識したことはなかった。 小中間の授業の連続性を感じる意見もあるが,多くは小中間,小小間,同小内の授業の在り方に違い 小・中学校 教科指導(社会科) 2
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