610 R3最終稿【藤本】
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食料の乱獲を防ぐ 寒いので酪農 ルールがある? に向いている ロシアなどの アイヌ民族の 外国にも近い 伝統料理 海に面していて 土地が広くて 魚介類が豊富 農地がある どうして北海道は“食の宝庫”なのだろう? 第1節 1年次の研究から見えてきたこと (1)1年次の研究概要 平成20年3月の学習指導要領改訂では言語活動の充実が一つの重点とされた。以来,指導者による講義に偏りがちであった中学校の授業の在り方も,生徒たちがどのように学ぶのかという視点から見直され,グループでの話し合いや自らの考えを記述する学習活動等を取り入れた改善が進められている。 しかし,全国学力学習状況調査・児童生徒質問紙を経年で比較すると,小中間での授業の型や方法が揃ってきていることがうかがえる一方で,「学習していることは実生活でも役に立つ」という意識が中学生になると急激に低下する傾向は依然として続いている。1年次の研究は,こうした傾向が続く要因を,中学校では「覚える」という言葉に象徴される,個別的・限定的な知識の習得に軸足が置かれ過ぎているのではないかと考え研究を進めた。つまり,「どのように学ぶか」という点に問題があるだけではなく,小中の授業において「何を学ぶか」「何ができるようになるか」という点にも違いがあることが関係しているのではないかと捉えたのである。 では,「社会科の授業で身に付けていることは,いろいろな場面で使える」という実感を醸成するために,生徒は授業の中で何を学び,何ができるようになればよいのだろうか。昨年度の研究では,生きて働く知識と見方・考え方に焦点をあてた。これらは様々な場面で応用が利く。未知の事象を読み解く際に,習得した生きて働く知識や見方・考え方を自在に発揮して問題解決できる力を育むことで,学習していることは実生活でも役に立つという生徒の意識に働きかけることを目指したのである。 実践の具体や意図についての詳細は1年次の論文(1)にまとめているが,授業の中で特に大切にしたのは,生徒が考えを形成する際の思考過程に注目するということである。生きて働く知識や見方・考え方は,思考の結果ではなく,結果を生み出す過程に現れることが多いと考えたからである。授業の中で指導者は,生徒がどのような着眼点で事象を捉えて考えを生み出そうとしたのか,どのような既有知識をつなげて問題を解決しようとしたのか,その思考過程を価値付けるようにした。 その際,図1-1の「見えるーぺ」というツールを用いて,生徒の思考過程を可視化した。図1-2のように思考過程を可視化し価値付けることで,問題解決に至るアプローチの仕方を生徒が自覚できるようにしたのである。 このような取組を繰り返すことで,未知の問いに対して「今回もあの視点から考えれば,予想できそうだ」「別の視点から考えると,どんな予想になりそうかな…」というように,生徒がこれまでの学習で身に付けたことを道具化し,見通しをもって問題解決できるようになることを目指した。そうした力は,授業以外の場面でも発揮できるので,学ぶ意味の一端を見失う中学生は少なくなると考えたのである。 第1章 研究主題について 図1-1 見えるーぺ(一部) 小・中学校 教科指導(社会科) 1 図1-2 見える―ぺを用いて問題解決の着眼点を可視化する 35

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