610 R3最終稿【藤本】
1/26

-小中で多面的・多角的に事象を捉える力の育成を通して- G0203 報告 610 Key Words:多面的・多角的 可視化 視点の自覚的運用 小中連携 全国学力学習状況調査・児童生徒質問紙を経年で比較すると,「学習していることは役立つ」という意識は,学齢が進む中学生ほど薄れていく傾向が続いている。本研究では,小学校,中学校という校種を問わず,「学習していることは将来にわたって役に立つ」ということに児童生徒が学ぶ意味を見いだせるよう,小学校,中学校それぞれで実践を重ねた。 その実現に向け,一年次の研究成果を踏まえ,授業では児童生徒の多面的・多角的に事象を捉える力を高めることに焦点をあてた。多様な視点を自覚的に働かせて問題解決を繰り返すことで,児童生徒がその汎用性や有用性に気付き,ひいては学習していることは将来にわたって役立ちそうだという実感を醸成できると考えたのである。多面的・多角的に事象を捉える力を高める手立てとして,多様な視点を習得・発揮するための学習活動を授業に位置付け,その学習活動に取り組む過程で半ば無意識に発揮されている視点を可視化しながら価値付けることを繰り返した。 実践後のアンケートでは,実践を通して付いてきたと感じる力として,多面的・多角的に事象を捉える力を選択する割合は小中ともに高まった。しかし,小学校の児童については,その力が将来にわたって役立つという実感に結び付きにくいことも明らかになった。その原因や改善策を検討しつつ,授業における日常的な小中連携の在り方についても論じる。 藤本 裕之(京都市総合教育センター研究課 研究員) 33 学ぶ意味を実感できる社会科を目指して

元のページ  ../index.html#1

このブックを見る