001総教C030705H29最終稿(高橋)
9/32

図2-3は,従来,工場などでの生産性を高めるために用いられたマネジメントサイクルの流れである。効果を上げるために,現場に関わる全ての人で今ある課題を見つけだし,目的を決めて取り組むことで,最後までよりよいものを作り出そうとする意欲を持続させることができるという理論で成り立っている。STPDを生かした校内研修モデルは単なる研修の手法ではなく,現実の課題を解決しながら,個人や組織が成長するためのプログラムと考えている。児童の実態(情報モラルに関する事前調査を実施)から,各学年で課題を見出した上で授業の目的を定め,授業の計画を練り上げるまでを研修会で行い,よりよい授業実践につなげるために活用した。 図2-2 情報モラルに関する懇談会について企画・手法を学ぶ これらの結果から,先生方は情報モラルに関しては保護者へ啓発が重要であり,すでに半数の先生方が懇談会に情報モラルに関する内容を入れた経験があるものの,具体的にその手法について学びたいという意思が読み取れる。 日本の教育現場は,子どもたちへの教授法を学ぶ機会は多いが,その一方で,家庭教育支援という視点では,保護者への働きかけ方について,校内で議論し,具体的に学ぶ機会はあまりないのが現状である。 そこで,家庭教育支援を情報モラルの校内研修会で考える機会があれば,情報モラル教育の充実に向けて一歩前進するのではないかと考える。今の大人たちは子どもの時代にスマートフォンなど持ってはいなかった。だから,子どもが使う上でどのようなことを伝えるべきか,情報モラル教育の必要性についてわからないままであることも多いと想像される。しかし,人と人とが便利に楽しくつながるためのツールであるにも関わらず,自分や相手が傷つくような使い方が,事例として多く出てきている。大切な子どもたちに,学校と家庭の両面から情報モラルを育成したい。 2年次(今年度)の研究では,学校が子どもたちに必要な授業を計画すると同時に,家庭に働きかけることについても考えられる研修会の構築を目指したいと考えた。目の前の子どもたちに対して何が必要なのかを語り合い,家庭では何ができるかを考え,情報モラル教育に対する家庭での役割を学校からしっかり発信できる機会としたい。 第2節 研究の進め方 研究協力校2校で,家庭教育支援につながるような懇談会の企画を取り入れた,情報モラル校内研修会を実施した。この研修会から,教職員の情報モラル教育実践に対する意識の高揚など,その効果を検証する。検証方法は,情報モラル校内研修会での家庭教育支援の具体を考える活動の様子,授業づくりでの話合い,各学年の実態と実態に合わせて作った授業計画の交流,研修後のアンケート,授業の実践と保護者懇談会での手応えなど,管理職や研究協力員,教員から聞き取りを行う。 2年次(今年度)の情報モラル校内研修会の流れは,1年次の研究と同様にSTPDのマネジメントサイクルを用いて進めることにした。 図2-3は,STPDサイクルを図式化したものである。 2年次は,図2-3で示したSTPDサイクルを用いて,家庭教育支援の視点をもちながら,授業と懇談会実践(D)に結びつけるまでの過程を1回の校内研修会で行うものである。 機会があればよいかに対するアンケート結果 図2-3 STPDサイクル 小学校 情報教育 7

元のページ  ../index.html#9

このブックを見る