情報モラル教育の指導内容には,二つの領域「心 に付けさせるものである。よって,教員が,充実した情報活用能力の育成を図ることができるようにしたい。そのためには,どのような力をつけたいのか,三観点がどのようにつながるのかを教員が理解した上で,指導することが重要である。 図1-7は,情報モラル教育の指導内容「2領域5 分野」を表したものである。 を磨く領域」と「知恵を磨く領域」がある。 「心を磨く領域」は,これまで,道徳の授業を要として,学校教育全般を通じて,一定進められていると考えている。また,教材に直接的にICT機器が事例として出ていなくとも,例えば,デマの拡散による迷惑な事象から考えることを通して,情報の受発信について,道徳的な判断力,心情,実践意欲と態度を育むことができる。 「知恵を磨く領域」とは,情報社会の特性を知ることである。知っていれば,子どもたちは,活用した先を想像することも他の事象に転用して考えることもできる。 また,情報モラル教育を授業実践していくためには,道徳の他にも,特別活動や社会科,総合的な学習の時間など教科学習の中での指導の在り方の位置付けが必要である。研修会の指導案作りでは,それらの指導の在り方が入るような,略案の枠組みなどが手立てとして考えられる。 (2)家庭教育支援 次期学習指導要領の改訂のための論点整理では「社会に開かれた教育課程」の実現を共通の理念とし,議論が進められてきた。今や,学校だけで教育課程を完結できる時代ではなく,保護者や地域の方々,専門家などにも学校に関わってもらい,教育課程を充実させる必要があるというものである。 また,第2期教育振興基本計画(平成25年6月14日閣議決定)では,基本施策に「豊かなつながりの中での家庭教育支援の充実」(11)が掲げられて図1-7 情報モラルの指導内容2領域5分野 (10) 小学校 情報教育 5 いる。学校や地域の豊かなつながりの中で家庭教育支援が行われるよう,コミュニティの協働による家庭教育支援体制を強化することをねらいとしている。これらは,学校が核となって地域と保護者を教育課程につなげるというマネジメント力を求めている。文部科学省では,「新しい時代の教育と地方創生の実現に向けた学校と地域の連携・協働の在り方と今後の推進方策について」(平成27年12月中央教育審議会答申)(12)を踏まえ,学校運営協議会の設置の努力義務化やその役割の充実などを内容とする「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」の改正が行われた(平成29年4月1日施行)。京都市においては,学校運営協議会の設置数が237校・園(平成29年5月末現在)となり,小学校と総合支援学校は全校設置に至っている(13)。 しかし,学校と保護者をつなぐ上で一番身近である学級懇談会については,見聞きする範囲では参加率が低い現状がある。本来,学級懇談会は,学校と保護者同士がつながりを深め,子どもの育ちに関して共通理解をもって,それぞれの役割を果たしていくための機会である。 懇談会への参加を躊躇する保護者の多くは「何か自分から話をしなければならい。」という思いが先行するようである。その一方で,学校側が一方的に連絡や報告をするだけの懇談会では,参加した保護者は満足感を得られないし,保護者同士のつながりを生み出すこともできず,学校と保護者をつなぐ機会とはなりにくい。つまり,保護者にとって懇談会の参加が魅力的なものではなくなる。 教員にとっても,懇談会の企画や運営手法については,授業実践と比べるとはるかに難しく感じているのではないだろうか。その理由は,授業研究と比べて,懇談会そのものについて企画や運営方法,懇談会がねらいとする価値などについて,教員同士で協議されるような機会が非常に少ないことにある。懇談会の取組方を今一度,学校全体で協議することは,家庭教育支援を進めていく上で大きな意義があるのではないかと考えている。 そこで,社会にとっても保護者と学校にとっても喫緊の課題である情報モラルをテーマにした懇談会実践に向けて協議できる機会を求めていきたい。 保護者が子どもから目を離すことで,扱い方を知らない子どもたちは,ゲーム依存やネット依存などのゲームやインターネット閲覧の長時間利用による生活への悪影響から,発達期の大切な時間
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