必要な教材を必要な時に活用できるように,情報モラル教材の情報収集能力を身に付ける機会をもつことである。また,アニメーションや動画など視覚的にわかりやすい教材のありかを教員が認知し,授業に活用することは,教員にも子どもたちにも有用性が高いと考える。 さらに,校内研修会では,授業構想を練る前に,教員が情報モラル教育の教材を事前体験し,効果的な学習展開について知ることや,子どもに起こり得る情報モラルの諸問題を絵カードにしたものを使って,情報モラル教育の全体像を把握できるような時間も設けた。これらの体験活動を通して,情報モラル教育についての認識を深める取組をした。 (2)成果と課題 <研修会> 1年次の研究で構築した情報モラル校内研修モデルは,校内の教員で運営できるようにすることに重点を置き,STPDサイクル(詳しくは後述する)を活用した流れで進めた。進行は情報教育主任が行うが,研修の具体活動は各々の教職員によるものとしたので,参加者全員が主体的に研修に臨むことができた。 また,各学年で児童の課題を見出し,教材の選択をする活動,全体で他学年の内容について交流する活動など,校内全体で主体的に学び合うことを通して,情報モラル教育の必要性を再認識すると共に,指導への意欲を高められるという成果を得た。また,STPDサイクルを活用した研修スタイルは課題に向かう組織力を高めることにもつながった。 研修会の時間は,90分と120分の2パターンで行ったが,どちらの学校も,情報モラル教育の概要を知ることや授業計画を立てること,他学年の研修会での活動を交流することで,今年度の校内の情報モラル教育の必要性と取組について共通認識することができた。しかし,90分で研修を行った学校では,授業計画を立てる時間をもう少しとりたかったという意見もあり,研修の時間としては,120分程度確保できる方がよりよいことがわかった。また,研修時に活用するために行う児童実態調査については,時間を要するため,児童実態把握に支障がでない程度に調査項目を吟味していく必要がある。 <授業> 授業実践では先生方から,子どもたちにどのような手立てが有効か見取ることができた。 図1-4は,先生方が授業で行った手立てである。 ① ③ ② 動画教材の使用により,子どもたちを集中させることができた。先生方の選んだ教材は子どもたちの課題に合致しており,児童実態から授業のねらいを考え,教材を選択したよさが見受けられた。 ③ 使用する教材の扱い方においては,迫りたいことについて補足的に動画を使用するという視点で活用(動画を止めながら状況を確認し,発問するなど)すれば,対象学年以上の教材であっても,子どもたちの理解をより助けていた。また,動画教材の活用はICT機器の利用がある児童とそうでない児童の両者が共に考えられる足場のある授業を展開できていた。 ④⑤ 子どもたちに考えさせる場面では,ワークシートに記述する一人学びの時間をしっかり確保し,ペアトークやグループトークを取り入れ学び合う時間を設けるなど,知識の投入だけにならない工夫も見られた。思考を伴う,普段通りの授業を生かした,情報モラル学習となっていた。 ⑤ 図1-4 授業での工夫 ① 授業の導入場面で,研修会の時に使用した児童の実態調査結果を提示した。先生方が研修会で気になった子どもたちの実態調査の結果を授業でも使用することは,子どもたちの関心を高め,学習への意欲を向上させることへとつながった。 小学校 情報教育 3 (7) ② ④
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