教員になり初めて懇談会をしたときに,他の教員から教わって実践した体験に縛られて,なぜ懇談会が必要なのかということを考える機会がないまま,毎回の懇談会をしていては,保護者にとって魅力ある内容にしていくことは難しい。学校の中には「情報モラル教育の懇談会をしているのに保護者が来ないので啓発のしようがない」という声もある。だからこそ,校内全体で,魅力ある懇談会の実践を継続できるように,家庭教育支援の意義と具体的な手立ての両方が学べる研修が必要であるといえる。 量はさほどではない。反対に「書籍から」「セミナーに参加して」など学校外から情報を得る機会が少ないことからは,新たな視点での懇談会の在り方などについて知り得る機会が多くないと考えられる。 (2)家庭教育支援の具体 情報モラル教育の充実 のために学校は,子ども たちには情報モラルの学 習を積み上げること,保 護者には,子どもの授業 を通して考えてもらうた めの授業参観や,現状で きることに気付き行動に 結びつきやすくなるよう な懇談会で啓発していく という,大きな柱が見え てきた。二年間の研究を 通して,教員が授業実践 に向かいやすくなるため の取組として1年次研究 「情報モラル校内研修モ 小学校 情報教育 29 デルの構築」,情報モラル教育は学校だけで完結できるものではないという視点から2年次研究「保護者啓発を意識した情報モラル校内研修モデルの構築」に取り組んできた。 2年次研究のテーマである保護者啓発については,懇談会に参加することで,持ち帰れる成果がある機会にすること,授業参観で,子どもたちと一緒に考えられる具体について,また,その成果と課題について,これまで報告してきた。その他にも,情報モラルの保護者啓発,つまり家庭教育支援の具体についてできることが見えてきた。 図4-10(左下)は,取組の具体を簡易的に示したものである。 まず,学級通信で発信することが挙げられる。授業内容や子どもの感想を発信すること,懇談会での活動や保護者の感想を発信して,次の機会は懇談会に参加したいと思ってもらえるようにすること。他にも,子どもの学習のワークシートを持ち帰らせて保護者にコメントを可能な限りで求めること(低学年の場合,学習した日にワークシートと,授業の内容がわかるものをもち帰らせることが望ましい)や,その保護者コメントを学級通信に掲載することで保護者が互いにどのようなことを考えているのかを知り得る機会を設けることも,情報モラル教育で家庭と家庭をつなぐことになる。 また,授業参観や懇談会での啓発が難しい場合,プリントやホームページで伝えるだけでは,伝えたい保護者に届いていないかもしれない。家庭訪問や個人面談の機会で,保護者全員に働きかけることもできる。例えば,子ども自身で記 図4-9 懇談会を企画するにあたりどこから情報を得ているかに対するアンケート結果 図4-10 学校が,情報モラルで家庭教育支援を意識して取り組める具体例
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