001総教C030705H29最終稿(高橋)
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①一般的な話しばかりで,うちの子には直接関係ない ②保護者会で誰かの質問に答えたり,具体例を挙げた りしても個別的すぎる 上記を一例に考えると,保護者が懇談会に参加することに魅力を感じていないと考えられる。私たちは子どもたちの様子を共有するために,懇談会で日々の様子を詳しく伝え,保護者からは質疑応答の機会をもってきた。実は,そこに保護者が懇談会を魅力的なものと思えない原因があったのではないだろうか。懇談会は保護者同士がつながりをもつ中で,家庭でできることに気付ける時間にすることが,保護者にとって成果の感じられる,魅力ある懇談会である。そのことが,学校現場において広く浸透していないと考えられる。 (1)懇談会を充実させていくために に至るまでに5教材で6時間の学習をしてきた。それでも,子どもの口から情報モラルの学習について保護者に伝わったのは41%にとどまった。つまり,学校で情報モラルの授業を複数実践すれば,必ずしも家庭教育に届くという訳ではない。だからこそ,学校は粘り強く情報モラル教育を行っていく必要があるといえる。 また,授業参観時,保護者に子どもたちが情報モラルの学習内容を家庭で話をしているのか聞き取りを行った結果,図4-8の示す割合とあまり変わらなかった。その中で,ある保護者は「子どもが,パスワード設定の大切さと作り方を教えてくれた。私もパスワードの作り方なんてこれまで知る機会がなかったので,子どもが教えてくれてためになった。私たちの世代は習ってこなかった情報モラルを学校で教わってくることはありがたい。」と話された。このことからわかるように,保護者の世代は学校教育で,情報モラル教育を受けていない。しかし,情報モラルを身につける機会は,子どもにとって学校外で多い。やはり,家庭教育に対する働きかけを学校が意識して進め,共に考えていくという姿勢が大切だといえる。 第2節 情報モラル教育で,家庭教育支援を考えたときに見えてきたこと 本研究の取組から,情報モラル教育を充実するためのポイントは,情報モラル教育を進めたいと考えている教員の意識の高まりを授業実践へ向かいやすくする手立てをとること,学校だけで教育を完結するのではなく,学校を軸に家庭教育に働きかけていくことだと考えるに至った。今年度研究実践の中で,家庭教育支援が最も効果的にできるのは,保護者同士が直接集って交流できる機会となる懇談会であることも見えてきた。 しかし,研究を進めていく中で,学校が家庭教育支援に効果的に働きかけるために,大きな課題が二点出てきたと考えている。 一点目の課題は,懇談会の参加率が少ない現状である。情報モラル校内研修会の事後アンケートでも「せっかく準備をしても懇談会の参加が少なければ,あまり意味はないのではないか。」という意見もあった。授業参観に多数保護者が参観しているときでさえ,懇談会の参加につながりにくい。なぜ,子どもの授業は参観しても,その後に保護者と学校の交流の場となる懇談会の場に参加する小学校 情報教育 28 ことが少ないのだろうか。 懇談(保護者)会,三者面談などの不満として次のようなことが示されている。(23) A校第6学年の懇談会から得たヒントは,子どもの学習と保護者をつなげる工夫である。子どもがあらかじめ将来なりたい姿を20年後,10年後,5年後と順に書出したワークシートを各保護者に示し,家庭で大切にしたいことは何かということを考えてもらって交流するというものであった。ある保護者から「子どもが,自分から絶対懇談会に来てって言ってきた」という発言があった。それは,子どもが自分の将来について書いたものを親に見て欲しいという思いから発せられた言葉だった。懇談会の場に来てもらうためには,学校からの配布物などで知らせるだけではなく,子どもが家庭で「懇談会に来て」と自ら発するような工夫も,大切な視点であると考えられた。 二点目の課題は,懇談会の企画内容である。学校が家庭教育支援を重要視しなければならない意義やそのための手立てについて教員が学ぶ機会が,あまりないことだと考えている。また,今回の研究で進めた懇談会を参考にして実践しても,一度の懇談会を工夫したぐらいでは,すぐに参加者が増えるものでもない。 次頁図4-9は,懇談会を企画するにあたってどこから情報を得ているのか研究協力校の先生方を対象にアンケートを行った結果である。 図4-9は,研究協力校A校・B校の先生全体の調査結果からは「先輩から」「同年代の同僚から」という,教員同士の情報交換が圧倒的に多い。「インターネットから」という回答もあるが,インターネット上での懇談会の手法について現時点では情報

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