001総教C030705H29最終稿(高橋)
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図4-7 ディベート時の板書とディベート前にチームで作成を考えている児童の様子 らのチームになっても,これまでの学習を振り返って,根拠をもって話し合うことが,自分にとってこの学習を考えられることを確認し,ディベートの準備をした。 図4-7は,ディベート時の板書とディベート前にチームで作成を考えている児童の様子である。 ディベートの経験が初めてだったにも関わらず,自分たちのチームの主張となる根拠について,活発に話し合う様子が,全てのチームに見られた。日常的にスマートフォンやタブレットを使用していない子どもたちも,個人的な思いと異なるチー ムに属することになった子どもたちも,これまでの学習の中で知った具体的な事例や,そこで考えたことについて出し合った。その様子からは,情報モラルの学習を単元としてつながりをもって学んできた成果がみられた。 その中で,肯定側の意見を発表することになったある子どもは「本当は,自分にとってスマホは必要ないと思っているが,否定チームに勝てるような肯定の主張をチームで考える。」と話しに来てくれた。このチームの発表は「生活に便利であるが依存症などにつながる可能性もしっかりわかっておいて,うまく使えるように自分たちが考えることが一番必要。だから役に立つ道具になるように自分たちが使うことが一番良い。」という主張をした。授業後,先ほどの子どもに,もう一度意見を聞き取った。「今日,肯定側の意見を考えたことで,やっぱり今の自分にとっては,スマホは必要ないと思った。スマホでできないことがたくさんあるし,友だちと直接遊ぶこととか,家族としゃべる時間の方が大事だと思っている。」と答えた。依存に関する学習が強く印象に残っているそうだが,それ以上の成果は,学習全体を振り返った上で,もう一度自分自身の結論に至ったことである。 最後に,この学習でこれからインターネットにつながる機器を使用していくときに,大切な考え 肯定チーム 方について,子どもたちがそれぞれまとめた。「初め,スマホは絶対いると思っていたけど,そうでもないと思った。(家での)ルールを守ることが大切だと思った。私は,今のところルールを守れているので,安心した。」「スマホやタブレットに合わせた世の中になっているので,断然便利だと思うけれど,一歩でも使い方を間違えたら,危険な目にあうことになるので,気を付けたい。」「良いところも悪いところも見付けられた。注意しておくことと,安全に使うためのポイントがわかったので,気を付けて使えるようになりたい。」というまとめや,現在使用している子どもの中には,「使っているアプリが他人とつながる可能性があると思うので,設定を変えるか使用をやめようと思う」と現状を見つめ直したことも書かれていた。 この学習では,子どもたちの考えの中に,困ったらすぐに親に相談することや,パスワードをかけること(かけてもらうこと),自分で使用時間がコントロールできないときは,親に機器を預かってもらうなど,自分たちが適切に活用するためには,保護者に協力してもらうという発言がよく出ていた。子どもから,保護者へ情報モラル教育について伝わることを期待したい。 図4-8は,B校5年生の子どもたちに,単元の終末(ディベート)までの情報モラル学習について家庭で話題に上げたかを尋ねたものである。 否定チーム 41%の子ど もたちが,情 報モラルの学 習を伝えたこ とがわかる。 その内訳は, パスワードに 関すること, 依存に関する ことが多かっ た。この調査 図4-8 情報モラルの学習について,子どもたちから家庭に伝わっているかどうかに関する調査 小学校 情報教育 27

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