001総教C030705H29最終稿(高橋)
24/32

表3-3からは,情報モラル校内研修会で懇談会のワークショップを体験したときに感じたように,保護者が交流しやすくなるような手立てを取り入れたことが,家庭での実践につながると考えられたことがわかる。また,保護者へ働きかける意図ばかりではなく,保護者と交流することで,小学校の教員が中学生のスマートフォンの使用実態を知ったこともわかる。 この保護者グループでは,家庭で特に大切にしたいことに,「家庭で約束を決めること」「使用する場所は親の目の届くところにすること」「危険なつながる可能性について先に知らせる」ことを挙げた。また,他にも,「フィルターを設定して通信内容に制限をかけること」などが,出し合われており,子どもを守る上で,必要な機器の設定の大切さにも気づいた様子が伺える。 授業参観で子どもたちが学習をした動画教材と同じものを用いた。また,懇談会の手法は,先述したA校の実践(p.20図3-19)と同様のものを使った。 図3-20は,保護者の交流の様子がわかるピラミッドチャートである。 B校4年生の先生方は,研修会での計画時に家庭でのルール作りや,フィルタリング設定を保護者にして欲しいと考えていた。懇談会で,教員が一方的に情報モラルに関する知識を保護者に伝えるよりも,このように,保護者が大切なことに自ら気付いて行動できるように支援するというねらいは,学級懇談会で十分達成できると考えられた。 また,B校の保護者はグループ交流の際,「自分たちの親が子育てで心配していなかったことを今私たちはしなければならない」と話した。続いて,他の保護者は「子どもに教えたい気持ちもあるが,情報社会の進展についていけないところがあるので難しく感じている」と話した。「この日の授業を機会に,この件について家で話そうと思う。よい機会をもらった。」という感想も出され,授業と参観に関連性をもたせて,保護者に働きかけることは,大変効果的であるといえる。 表3-3は,この懇談会を実践したB校4年生の先生方の事後アンケートをまとめたものである。 懇談会終了時にフィルタリングのかけ方の用紙を配布した。保護者が受け取るときに「これは,ありがたい。いざ設定しようと思っても,やり方がわからないことが多々あるから。」と言っていた様子から,懇談会で交流したことから家庭での実践に結びつきそうだと考えられた。 一方で,参加されなかった保護者に対しては,授業や懇談会で出た意見を学級通信で伝え,フィルタリングのかけ方の用紙を配布している。しかし,これまでも述べたように,本来は紙面で伝えるより懇談会での活動に参加する方が,情報モラル教育についてより理解してもらうことができる図3-20 B校情報モラルをテーマに家庭教育について考えた ワークシート(保護者活用分)と話合いの内容 表3-3 情報モラルに関する啓発懇談会実践後の教員 小学校 情報教育 22 アンケート

元のページ  ../index.html#24

このブックを見る