001総教C030705H29最終稿(高橋)
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このグループでは,一番大切にしたいことは,迷ったときには親に相談できるように,相談しやすい関係を日ごろから作っておくことだという考えにまとまった。続いて「忙しいからと任せてばかりいないで,しっかり関わらなければならないな」とか「叱ってばかりではなくて,ゆっくり話を聞く時間をとっていきたい」という感想が出ていた。 に,動画教材を視聴し,登場人物の小学生の問題点について書き出した。その後,書き出した問題点に対して家庭で取り組めそうなことを一人あたり3~4枚程度付箋に書き出した。 ワークショップBの実践の前段は,一人で書くという作業が入るが,保護者の様子からは難しさを感じなかった。保護者が動画教材のストーリーを食い入るように視聴している様子からは,交流内容を共有することに効果的であったと見て取れた。問題点や家庭で取り組めそうなことを書き出す活動も,教員研修のときと変わらないスピードで進められていたことから,流れにそう問題は無いと考えられた。 ワークショップBの実践の後段は,話合い活動である。それぞれの付箋を出しながら,似ているものがあれば,重ねながら4人1組で交流を進めた。内容をまとめ,一番大事なことを頂点に上げる活動を通して,互いの意見に共感し合い,質問し合うなど,積極的な関わり合いのある交流の様子が見られた。 図3-19は,保護者の交流の様子がわかるピラミッドチャートである。 この交流会は通常の学級懇談会とは違って,様々な学年の保護者が集っており,自分の子どもと異なった学年の実態なども互いに聞き合い,兄弟関係で中学生の実態も話される様子が多く見られた。保護者は,学校の用意した活動をもとにして,活発に情報交換を行っていた。交流会の後,ある保小学校 情報教育 21 護者は「知らないことを自分から知って,子どもにきちんと教えていかないと」と話された。このように,保護者が,自身でできることに気付き,行動化していくきっかけを学校が作っていくことが重要であると考えられる。 (2)学級懇談会としての実践 <タイプ別子どもの接し方シートを用いた懇談会> A校第2学年の懇談会では,ワークショップCを取り入れて実践された。話合いのテーマは子どもたちの実態から,「時間になってもゲームをなかなかやめないときにどのような声かけをするか」ということについて話合いをした。保護者からは,「周りの保護者も同じような悩みをもっていることがわかって安心した」「他の保護者の意見は参考になった。やってみようと思うものがあった」「このように,話合いやすいテーマで色々意見交流できることはありがたい」などの感想をもったことが,懇談会後のアンケートからわかった。また,「タイプ別子どもの接し方シート」は最後に活用した。これは,校内研修会で活用したときに「学校からこんなタイプだと言われたような気がして,あまりよい気がしない人もいるのではないか」という意見も出ていたことから,話合いの後に配布し,各自で参考までに活用を促すに留めた。保護者の反応はよく,ワークシートを活用した結果を互いに話し合うなどの姿も見られた。懇談会の様子は,互いの意見を出しやすい雰囲気があり,保護者の感想からもわかるように,家庭教育について考えてみるよい機会となったことがわかった。また,教員の聞き取りからは,懇談会の実践に充実感をもたれた様子が伺えた。 <動画教材を用いた懇談会> B校は,人権参観懇談会で情報モラル教育について4年生で取り上げている。そこで,今年度は,情報モラル校内研修会での児童実態から,スマートフォンの利用率が50%を超えている現状がある中で,「インターネットにつながる機器の使用について約束がない家庭が15%あること」「約束を守っていない子どもと合わせると37%になること」から,「子どもも親もインターネット・スマホ利用には危険性があることを理解する」を学習課題とし,授業と懇談会の両方を連動させることになった。教材は,小学生が通信ゲーム機による知らない相手とのやりとりによって被害を受けることになったストーリーを動画にしたものである。懇談会は,図3-19 A校情報モラルをテーマに家庭教育について考えた ワークシート(保護者活用分)と話合いの内容

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