図3-14のワークシートは,現在8歳の子どもを想定して書かれている。2020年の東京オリンピック時には11歳で小学5年生,日本の人口の3人に1人(31%)は高齢者(65歳以上)になる時代に20歳になると予想されている。労働状況をとって考えても,現在の私たちの置かれている状況とはずいぶん異なる社会である。だからといって家庭ですぐにどうこうするできるものでもない。ワークショップAでは,子どもの将来を一度書き出すことで,改めて子どもとの向き合い方について,自問してもらい,そのことをもとにして,懇談会に集う保護者同士が家庭教育について話し合うことに意義があると考えている。ワークショップAの交流時は,「私たちの置かれている状況よりも厳しい社会で働くことになるのだな」と,子どもたちが社会で活躍する年代について,厳しさを感じる声も聞かれた。 図3-13は,参加者と支援者の両方の視点で,ワークショップについて評価するようになっている。 シートである。 この評価を三つのワークショップに対して行い,最後にグループ交流でよりよい企画の視点を出し合うというものである。 この「懇談会のワークショップを体験すること から学ぶ研修会」が,先生方にとって懇談会のよりよい企画を生み出す機会や学び合いとしてどのようなものになるか検証を進める。ここでは,三つのワークショップの体験と評価をすることで,A校の懇談会の在り方を考えた実践の具体について報告する。 <ワークショップA> ワークショップAは,ライフスキル教育プログラムの指導実践「自分の将来を考える」(20)を参考に,保護者に子どもの将来を考える機会となるようなワークシートを作成し,懇談会について考えた。 まず,クラスの気になる児童を一人ずつ思い浮かべることから始めた。そして,その子どもがこうなって欲しいと願う将来の姿を20年後,10年後,5年後と順に書出す。そのために,家庭でやれることは何かということを考える前に,ワークシートの左端を折り返し,願う将来の姿年表と未来の様子が記入された年表を並べて,それをもとに話し合うという流れである。 図3-14は,ワークショップAで活用したワークシートである。また,左の年表は,子どもたちの過ごすことになる未来について,現在予想されているものを例示したものである。 情報モラルについて考えてもらうには,この活動の後に,例えば「スマートフォンやゲーム機の利用時間を子どもに任せたままでよいのでしょうか」というテーマで交流を進めれば,活動をもとに将来の姿を見据えて,今大切にしなければならないことに気が付くような話合いになることが想像される。 この懇談会を親目線と支援者(先生)目線で評価した結果は,次のように様々であった。 表3-2は,ワークショップAの懇談会の評価である。 表3-2 ワークショップAの評価 (評価点数5点満点) 図3-13 各ワークショップを評価するシート 図3-14 体験Aのワークシート(ワークシートを折り返 小学校 情報教育 18 して年表と合わせたところ)
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