001総教C030705H29最終稿(高橋)
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に,一緒に考えてもらうしかけを45分の授業の中 で6回働きかけられていた。 次に,その保護者へ働きかけについてまとめた。 ①保護者を授業に引き込み始める 子どもたちへの一つ目の発問後に,これから子どもたちが一斉に発声する言葉を聞きとって欲しいと保護者へ促し,「子どもたちが言ったもの以外で,思い浮かんだものはありますか」と保護者に問うた。ここでは,保護者の反応はまだ薄かった。 ②少数の保護者に発言してもらう 子どもたちへの二つ目の発問で,各々に思い浮かべた「夜遅い時間」に対して,「それでは,お家の方にも聞いてみよう」と,保護者数人に聞いた。この授業の導入は,子どもたちが人はそれぞれ感じ方や考え方の違いがあることを簡単に体験し,コミュニケーションをとる必要性を感じられるようにするものである。この体験に参加してもらったことにも,同様の意図があり,発言した保護者は数人ではあったが,保護者にとっても見ているだけではない,授業参観が始まった。 ③保護者にも子どもと同じ活動をしてもらう インターネットに公開されたら嫌だと感じる写真の種類をカードから選ぶ場面で,数人の保護者に黒板の前で,子どもたちと同じ活動してもらった。そのために指導者は,保護者の側まで行って積極的に声をかけた。後の聞き取りで指導者は,保護者にとっては,慣れない授業参観の形態のため,積極的になれない事を予想し,忘れ物を届けたり,連絡をとり合ったり,近日の内に会話をしている保護者に意図的に声をかけたということであった。 ④保護者に子どものグループ活動に入ってもらう 子どもたちが,5枚の写真をインターネット上に公開しても良いと思う順位で並べる活動時に,保護者に子どもの様子をグループ活動の傍まで行って見てもらうよう声をかけていた。参観者20人中,半数はグループの傍まで行き,子どもの並べた順位を見て感想を伝え,子どもたちとやりとりしていた。 ⑤授業と関連して保護者に知ってもらいたい情報 モラルの内容を伝える 先ほどの5枚の写真をインターネットで公開するときに考える視点としてインターネットの特性を知らせた。また,子どもたちが,ワークシートに記述している時間を使って,ここで使用小学校 情報教育 16 した写真カードの一つを例に,リベンジポルノへと発展する事例について話をした。保護者の反応からは「そうそう。」という女児の保護者や,何気ない写真の交換がそういった事件になることついて新たに認識を得た様子も伺えた。 ⑥子どもたちの実態を知らせる A校5年生の「インターネット上に写真をアップすることの意識」について調査した結果を最後に見て,この授業をした意味を子どもたちにも保護者にも返した。 授業参観を機会に家庭教育へ働きかけたのには,児童実態調査の結果を子どもだけの課題とせず,家庭に返していこうとする指導者のねらいがあった。保護者を授業に巻き込み始めた時は,まだ保護者の反応が薄かったが,この実践のように授業参観の中で,何度も保護者に一緒に考えてもらう機会を増やしていくことで,保護者の授業への参加が増えていった。これらの取組から,授業参観に保護者を巻き込む手法は,情報モラル教育について考えてもらうのに,有効な手立ての一つであると考えられた。 第2節 魅力ある懇談会づくりのために 研究協力2年目のA校で実践した研修会である。2年次研究(今年度)の「保護者啓発を意識した情報モラル校内研修会」を実践した後,その中で「懇談会ワークショップ」(体験1)」のように,懇談会を具体的に考える上で,役立つような機会をもちたいという要望が出た。そのことから,情報モラル校内研修会の発展型として「懇談会のワークショップを体験することから学ぶ研修会」の実践に至った。 情報モラルの懇談会をもつ機会は年間を通して何度もあるわけではないが,情報モラル教育を進める上で出てきた家庭教育支援という概念により,それまでの懇談会のイメージを変え,学校と保護者,保護者と保護者をつなぐ大切な場所であるととらえられ,懇談会の具体的な手法をより学びたいと考えられた。 次頁図3-11は,懇談会を企画するにあたってどこから情報を得ているのか研究協力校A校の先生方を対象にアンケートを行った結果である。 図3-11からは,半数以上の先生が周囲の先生から聞くことで情報を得ていることがわかる。「セミナーに参加して8%」は実人数2名であるが,このように保護者懇談会を意識したワークショップの在

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