児童実態を調査するためのアンケート(17)を校内研修会までに実施しておき,学年毎に集計された結果から把握・分析していった。 はめる活動に使用したものである。 図3-5 子どもたちの課題を具体的に示した事例シート 活動の中で,多くの声が聞こえてきた。「同じ事例でも二つ以上の分野にまたがるものがあるのではないか」「ほとんどが『安全への知恵』の分野でないか」などである。当てはめてみた後に,解答例を提示した。その際に「この分野にも当てはまるのか」「結構難しいものだ」など様々な声が聞かれた。それほど,子どもたちの情報モラルの諸課題について情報モラル教育の領域・分野として全体的にとらえる機会が少なかったのかもしれない。これまで,例えば,学級に1人ゲーム依存の傾向の子どもがいるから授業をするというきっかけがあるとする。そうすると,その部分だけにとらわれて「使ってはいけない。気を付けなければならない。」「危ないものだ。」といったようなダメダメを教える授業になる傾向が表れる。情報モラル教育というと,一つの事例から考え,危ないから使わないようにという知識を教えるイメージから,脱却する一歩を踏み出したいと考えていた。この活動は情報モラル教育をとらえる機会として有効だと考えられた。 この事例シートを活用した感想に「子どもたちの実態から学習課題を焦点化するのにもっと時間が必要だった。しかし,2領域5分野を知ったことによって,考える手立てができ良かった。」という先生もいた。 学校現場は様々な課題への対応を抱えていることが実態としてあり,情報モラル教育もその中の一つとなる。全ての課題において,概念や構成を教員が学ぶことを主眼において,実践に結びつけることは,その課題に継続的に取り組んでいくには難しいと考えている。そこで,逆の発想として,具体から全体を知り,情報モラル教育を構成する分野領域をとらえる大切さがわかるような活動がされることに主眼をおいた活動形態に意義があったと考えられた。 3年生a教諭 家の人が画面のチェックをしていないのが多いなと。スマホなどの使用者の内訳としても多い。スマホを使っている中で「ネットショッピングをしたことがある」というのが気になる。そして,使っ た子の中で半分がアプリやソフトをダウンロードしたことがあ る。さらに「約束が無い」「あまり守っていない」というのが 3割もいる。3年生のこの時点で,約束もなければルールも守らないで使えることは,これから先さらに崩れていくだろうと思うので気になる。 3年生b教諭 ソフトをダウンロードした子が半数いるというのは,抵抗なく,楽しくしている様子が伺える。ダメなものも取り込んでしまっているのではない かと思う。また,約束やルールが無いのもすごく驚きである。 (2)児童の実態把握と分析 体験活動後に,事前に収集した児童実態調査結果 をもとに,実態把握と必要な指導内容についての分 析を行った。 図3-6は,STPDサイクルを生かした情報モラル校内研修会「S(See)情報収集・現状把握」「T(Think)児童実態から分析し,課題を考える」の部分の内容である。 A校は研究協力2年目だったことで,昨年度の校内研修会の実践と比べると,児童の実態把握・分析時の発言には,家庭教育を意識した内容が多く盛り込まれていた。 A校の3年生の実態と分析時の発言を次に示す。 図3-6 情報モラル校内研修会の「S(See)②」「T(Think)」小学校 情報教育 12 に関する内容
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