001総教C030705H29最終稿(高橋)
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図3-4は,学級担任をしている教員がある子どもを想定して書き始め, グループで回し終えたワークシートである。 ワークシートが埋まり,手元に戻ってきたこの教員の感想は次のようであった。「素直に謝ることができるようになって欲しいと思っている子どもに対して,そのスタートは楽しいと笑顔があることだと思った。自分に自信がついてきて,自分が幸せだと思ったら,何か失敗したときでも『ごめんね』とか『今度からこうするね』って謝れるのかなと思う。今,それができてないってことは何かこう自分が満たされていない中で,自信が無い部分があるので,そこを相手に言われたときに素直に受け止められないのかなと思う。今はどのステップなのかなぁと考えさせられた。」と述べた。 また,「ABCそれぞれ分かれていても,その中で一つのワードが関連しているようにこのシートは完成された。周りの人に新しい視点で書いてもらったことで最後ゴールのところに書いてあることは,これは子どもに必要な力なんだと思うものだったので,自分の考えが整理されたというか新たな発見になった。」という感想を述べた教員もいた。 このワークショップはあくまで情報モラルの研修会の中での実践であるが,教員としてこのワークショップを通して,子どもと向き合う新たな視点を考えさせられたことがわかる。上に挙げた以外の教員からもそれぞれのワークシートから感じたことは同様の内容であった。 進行者の視点からみた,保護者がこのワークショップを活用する場面についての感想を求めた。そこでは,「いろんな考え方が出てくるかもしれないし,何を書いてもいいし,そこから考えたこと,いろんな保護者がキャッチボールしながら書いていけるっていうのがコミュニケ―ションにもつな小学校 情報教育 11 がり,また,新しい発見にもなるのではないか。」「みんなで違う子のことを想像しながらスタートしたシートではあるが,回していくうちに,結局みんな同じようなことを言っているか,僕の担任している子だけではないということがわかった。保護者もうちの子だけじゃないという安心感にもつながると思うのでいいなと思った。」また,「教員がワークショップをしたことで,同じような言葉が出やすかったかもしれないが,保護者ではもっといろんな意見が出てくるかもしれない。」と感想を述べていた。 教員以外の子育て経験のある職員の感想を紹介する。「私は,口癖というのをスタートに挙げたが,口癖という言葉からいろんな言葉が混ざってきて,いろんな想像ができるので,言葉一つでそれぞれの考え方が違うというのがわかってきた。人それぞれ育ちや暮らしが違うが,色々な意見があることを知ることは面白いなと思った。」この意見は,懇談会で保護者がもつ感想に近いと考えられる。保護者と教員の一対一のつながりが,家庭教育支援だというようなことが,いつしか当然のようになっていないだろうか。懇談会では色々な保護者が集まるからこそ「色々な意見があることを知るのは面白い」に,つながる。そこから気付き,家庭での関わりに,他の意見を取り入れてみようと思える機会になることが大切である。ここに情報モラルに関する話題を取り上げることが大いに可能である。 よって,研修会でブレインストーミングを取り入れたワークショップの体験をしたことは,保護者の気持ちに近づくことができ,懇談会を今後考えていく上で意義があると考えられた。さらに,ワークショップの手法次第では,保護者がそれぞれ多様な意見をもっていること,同じ悩みをもっていることを知り,話し易い場で交流することから,保護者が現状できることに気付きやすくなることが,研修会の学びとしてあった。 <体験2> 体験2では,情報モラル教育の領域分野に,具体的な事例をあてはめることを通して,全体像をとらえるという活動(16)を行ったものである。研究協力校のA校は,昨年度の実践でこの活動をしていることから,今年度の研究ではB校のみ,校内研修会に組入れて実践することとした。 次頁図3-5は,子どもたちの情報モラルに関する具体的な課題の事例を15提示し,領域分野に当て図3-4 懇談会を想定したブレインライティング635法 の実際のシート

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