001総教C030705H29最終稿(高橋)
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図3-1にある一つ目「学校を軸とした家庭教育支援について(講義)」では,今以上に進展する情報社会で生きていく子どもたちのために,学校教育に求められていることについて確認した。例えば, ITを使ったよりよいコミュニケーションについて理解しておくことや,過度に使用し健康を害することが無いようにするための知識を得る必要があることなど,授業を通して子どもたちが気付き考えられるようにするという内容である。しかし,子どもたちが,家庭で自由にインターネットを活用できる状況にあり,また今後そのような環境になっていくことについては,学校内だけでの教育の範疇を超える。つまり「学校を軸に,家庭に返していく」という視点が重要である。そのため,特に情報モラル教育では,学校が家庭教育支援を意識する必要性が出てきていることについて共有した。どんなに情報化が進んだ社会が到来しても,自分や周りの人を大切にできるような人権感覚をもつ社会の一員に育てる責任が学校と家庭の両方にあるからだ。なおこれらの講義の進行は,校内の主任の先生によるものとした。 (1)学校を軸とした家庭教育支援について (14) 子どもを共に育む親支援プログラムプロジェクト会議京都市・京都市教育委員会『ほっこり子育て広場』京都市子育て支援総合センター・京都市教育委員会生涯学習部 2010.4 p.62 の手法として,ブレインストーミングを用いたワークショップを先生方に体験してもらう。保護者が考えを出しやすく,横のつながりをもちやすい場を設定した上で,懇談会を進めていくことの効果について考えてもらうためである。 2年次の研究の目的は,家庭教育支援という概念を学校が意識することで,情報モラル教育を学校教育だけではなく家庭教育まで広げ,その充実を図ることである。 大事なことは,保護者同士が共に(地域で)子育てをする意識をもつことである。つまり,懇談会において保護者同士の話合いがスムーズに行われるように,また,成果が上がるように教員が支援する視点をもてるようになることを目的としたい。 次に示すのは,懇談会の進行役(支援者)の役割をまとめたものである。 実際に懇談会の進行役(支援者)として教員には上記のような理解が求められる。保護者の立場で参加することで,次に懇談会の進行役にまわったときにどのように生かされていくのか,保護者の考えをファシリテートすることについて考える機会とする。 体験2では,子どもたちの身近にありそうな事例を15の絵カードにし,それらを情報モラル教育の領域・分野(p.5図1-7)にあてはめる活動を通して,情報モラル教育の全体像をとらえる活動を行う(研究協力校A校は昨年度実践済みのため実施しなかった)。これは事前の教員アンケートから情報モラル教育の全体像について,あまりわからないという結果が多かった(31人/41人中)からである。 その後の校内研修会の流れは,1年次の研究の通りであるが,そこでの先生方の取組の様子から分析を進める。また,各校の実践の具体については,各学年の授業と懇談会を分析し検証を進める。具体的な内容と検証については第3章と第4章に後述する。 支援者の役割 ・進行役であること ・語り手ではなく聴き手であること ・参加者同士をつなぐ存在であること (14) 前章で提示した,家庭教育支援につながるような懇談会の企画を取り入れた,情報モラル校内研修会の具体的な手法や意義について,実践の様子を交えて報告する。 図3-1は,STPDサイクルを生かした情報モラル校内研修会「S(See)情報収集・現状把握」をより充実させるために,校内で情報モラル教育の進め方について共有する項目である。 それでは,どのように家庭への働きかけをすればよいのか。情報モラル教育について考える授業や懇談会について,効果的に家庭に返し,伝え,家庭教育へ働きかける方法について考えた。 次頁図3-2は,吉田(15)が,人がすることによっ研修会Ⅱ」 第3章 2年次研究実践から 第1節 家庭教育支援につなぐ「情報モラル校内図3-1 情報モラル校内研修会の「S(See)①」に関す 小学校 情報教育 9 る内容

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