001総教C030705H29最終稿(大栢)
9/32

答えがあ らかじめ定まって いる活動 図1-8 感想を述べたり賛否やその理由を示すため,英語 を読んで概要や要点をとらえる活動 (27) べたり,賛否やその理由を示したりなどすることができるよう,書かれた内容や考え方などをとらえる活動を行っているか」(図1-8)などの領域統合の視点において,「よくしている」「どちらかといえば,している」と回答した教員は40%を下回るという結果が出た。 平成27年度と比較して若干の伸びは確認できるものの,この調査結果は,多くの学校で言語活動を充実させる取組が図られている一方で,その内容については五つの領域が切り離されて行われている可能性が高いことを示唆している。よって,今後は聞いたり読んだりしたことについて自分の考えなどを話したり,対話したことを書いてまとめたりするなど,複数領域を統合した言語活動を通し,自分の考えや気持ちを互いに伝え合うことを重視した学習・指導と評価を行うことが必要であると考える。 では,実際に英語の授業における言語活動の内容は具体的にはどういったものなのだろうか。 図1-9は「中高の英語指導に関する実態調査(2015)」(ベネッセ教育総合研究所)の中学校教員の指導方法・活動内容を示したデータである。授業での指導内容を問う質問に,ほぼ100%の教員が音読と回答している。次に発音練習,文法の説明,文法の練習問題,教科書本文のリスニング,Q&Aによる教科書本文の内容読解,キーセンテンスの暗唱と運用が上位を占める活動内容である。これらは,例えば,リスニング後の「その人の職業は何か」などの質問に答えるといった,通常,正解と誤りがある活動である。すべて答えがあらかじめ定まっており,クラス全員が同時に答えられ,答えや答え方の正確さが最優先事項として要求される反復練習や暗記学習によく用いられる。 一方で,行っていない活動にディベート,ディスカッション,英語で教科書本文の要約を書く,初見の英語を読む,英語で教科書本文の要約を話す,聞 いたことのない英語を聞く,即興で自分のことや気持ちや考えを英語で話すといった活動がある。これらは答えがあらかじめ定まっていない活動である。そして,「これについてどう考えるのか」「なぜそう考えるのか」といった質問のように,答えや答え方に自由度がある。これらの活動では,正確さではなく,相手が理解できるような発話と同時に,相手の考えをしっかりと理解することが求められる。 これらのことから,自由度の高い解答を求める活動や,あらかじめ原稿等を準備して話すのではなく,簡単な語句や文を用いてその場で考えて即興的に話す活動を増やしていく必要があると考える。 (2)パフォーマンステストの実際 前節第1項で,「話すこと」「書くこと」の発信型の言語活動の充実が,生徒の学習意欲の向上につながることについて述べた。同時に,それらの能力の育成及び,適切に評価するためのパフォーマンステストの充実を図る必要性も出てくる。 次頁図1-10は「平成28年度英語教育実施状況調査」におけるパフォーマンステストの実施状況,図1-11は同調査におけるスピーキングテストの具体的内容についての調査結果である。図1-10からは,各校におけるパフォーマンステスト実施率 が,すでに平成25年度には90%を越え,平成28 答えがあらかじめ 定まっていない活動 図1-9 中学教員の指導方法・活動内容 (28) 筆者一部改変 中学校 外国語教育 7

元のページ  ../index.html#9

このブックを見る