図1-5 授業でしていること (24) このデータから,中学生の約9割が,「英語のテストでいい点を取りたい」に続き,「英語が話せたらかっこいい」と感じていることがわかる。 また,図1-4は,同調査において英語を勉強する上で大切なことは何かに対する生徒の回答である。日本の中学生は,「英語が話せたらかっこいい」という憧れを抱き,学習においては「英語でたくさん会話をする」ことは大切だと思っている。 図1-4 生徒にとって英語を勉強する上で大切なこと (23) 筆者一部改変 しかし,生徒の英語に対するこのような思いとは裏腹に,興味深いデータがある。図1-5は同調査における「授業でしていること」について各学年の生徒に問うた回答結果である。 ここから,授業でしていることの上位を占めるのは「英文を日本文に訳す」活動や「文法の問題を解く」活動で,「自分の気持ちや考えを英語で話す,書く」活動を「よくしている」「ときどきしている」という回答は,中学校2年生の約6割をピークに,学年が上がるほど減少していることがわかる。生徒が英語を勉強する上で大切だと思い,憧れを抱いていることを,実際の授業ではあまりやっていないわけである。 生徒は「英語が好きではない」のだろうか。そうではなく,「英語の学び方が好きではない」のではないだろうか。「英語が話せるようになりたい」という生徒の思いを大切にし,その思いを持続・さらに向上させられる授業を創造したいものである。 第3節 授業の実際 (1)授業における言語活動の実態と課題 図1-6は「平成28年度英語教育実施状況調査」で,授業における生徒の英語による言語活動時間について,「おおむね行っている」「半分以上の時間,行っている」と回答した教員の割合を示したものである。 その割合は三学年平均で69.7%で,3年前と比較しても三学年平均で約22%上昇している。これは,多くの学校において,現行学習指導要領で謳われている言語活動(「話すこと」だけではなく,「聞くこと」,「読むこと」,「書くこと」の言語活動も含む)を充実させる取組が図られてきた結果であるといえる。 しかし,そういった言語活動の中でも,「聞いたり読んだりしたことについて問答したり意見を述べ合ったりするなどの活動を行っているか」(図1-7), 図1-7 聞いたり読んだりしたことに基づく話合いや 「話の内容や書き手の意見などに対して感想を述 図1-6 生徒の英語を用いた言語活動の時間 (25) 中学校 英語教育 6 意見交換 (26)
元のページ ../index.html#8