ここでは,三人の評価者から一次評価においてもらった○が,二次評価で増えている様子と,そ(3)自己評価 単元の学習全体について振返りを行い,メタ認知力を高めることが,主体的に次の学びへ向かう生徒の育成につながると考える。そのため,単元目標の達成度の振返りをさせる際には,何が分かって,何ができるようになったのか,また課題は何かを整理し,メタ認知力を鍛える必要がある。そこで,次の学習に向かう意欲につながるよう,何を振り返らせるのかを授業の目標に合わせて吟味した。 目標に対して「どんなことができるようになったか」を自己評価させ,「学んだこと,わかったこと」「よく頑張ったこと」等を書かせた。一方,「できなかったこと」「もっとチャレンジしたかったこと」「よくわからないこと」といった課題と,「こうすればよりよかったので,次はこうしよう」といった次の目標も書かせた。仲間との協働や資料の活用等,学び方についても振り返らせ,どんな学習の仕方が自分にとって有効であったかを内面に価値付けられるように自己評価を組み込んだ。 また,指導者によるフィードバックがとても重要になってくると考え,よりよいコミュニケーションを目指して取り組んできた姿勢,発表に至るまでにどのような考えを形成・整理し表現を高めていったかという思考力・判断力・表現力等を評価することに重点を置き,最後は「前回と比べて,こんなことができるようになったね」と,生徒のプラス面と頑張ってきたプロセスを励ます形成的評価を行った。 表3-5は自分の伸びを可視化する自己評価シートである。 表3-5 自分の伸びを可視化する自己評価シート の評価をもとに最終的な自己評価に向かっている姿が見取れる。最終評価でCをつけている個所もあるが,本番のパフォーマンステストに向けて,さらに伸びる自分に期待を込めての診断になっていたことが,記述から見取れる。この生徒は「Aさんはすごく表情がよかった。すごいと思った。私ももっと意識をしたら,今後の発表はもっとよくなると思う。」と自身を振り返っていた。 第4章 研究の成果と今後の課題 第1節 研究の成果について (1)生徒の意識変化 主体的に英語によるコミュニケーション能力を高めようとする生徒の育成を目指し,単元構想,授業設計,そして実践を行ってきた。実践後,生徒たちが英語でのよりよいコミュニケーションに向けて主体的に学びへ向かう姿に近づいていることを伺わせる興味深いデータがとれた。 図4-1は実践後にとったアンケート結果である。家庭学習習慣の定着に課題があるB校において,「家や休み時間など,授業以外の時間に教科書音読の練習をしたか」との問いに,80%の生徒が「取り組んだ」と回答した。 表4-1は生徒の自己評価シートからの振返りである。 図4-1 事後アンケート① 表4-1 自己評価シートからの振返り 中学校 英語教育 26
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