図2-3のように,学級活動の学習過程は①から⑤の過程を繰返し行っていくというものである。STPDは,筆者が分かりやすいように入れたものである。本研究のSTPDサイクルをこの学習過程に当てはめると,「⑤振り返り」が(S),「①問題を発見・確認」が(T),「②解決方法の話合い」と「③解決方法の決定」が(P),決めたことの「④実践」(D)となる。次に,このSTPDについて具体的に述べていく。 子どもたちが自ら考えて動くためには,目標となる共通のゴールがなければならないだろう。自分たちはどこを目指せばよいのかというものがなければ,課題を見いだすこともできない。学級での活動の場合は,それが学級目標となる。学級目標は学年の初めに作っていく。作った時はみんなで達成していこうと士気が高まっていても,徐々に意識が薄れていってそのまま一年が過ぎてしまそれが,活動の基盤となると考える。 また,こうした一連の活動を通して,すべての活動がつながっていて,学級集団全体で学級目標を目指しているという喜びやもっとよくしていこうという意欲が育まれると考える。また,個々も学級目標達成を意識することにより,つながりを大切にした自治的な集団づくりが可能になると考える。 そこで,学級全体での話合い活動を経て行う子どもの具体的な実践の場を「集会活動」と「係活動」の2つを中心とし研究していきたい。 「係活動」は学級集団より人数の少ない集団であることから,活動が学級全体で行うより進めやすいと考えられる。また,「係活動」は組織として仕事を分担し活動していく要素が強い一方で,「集会活動」は「係活動」より多くの子ども同士が関わる人間関係づくりの要素が大きいと考えられる。社会性の二つの特性に当てはめると,前者が「組織の一員としての諸特性」後者が「良好な人間関係を築く諸特性」の育成に主につながっていくと考えられる。係活動での自治的な活動経験が学級集団での活動に生き,学級集団での活動が係活動にも生きると考えるので両方を組み合わせて実践していくことが,子どもたちが進んで関わり合い,高め合う学級集団を目指すために有効だと考える。 第2節では,「集団自治を意識した意図的系統的な活動」についてさらに詳しく述べていく。 第2節 集団自治を意識した意図的・系統的な活動 (1)目標の共有化 図2-2 研究構想図 向けて現状を見つめ,そこから課題を見つけるということを子どもたち自身で行うということである。うということはないだろうか。また,学年の途中に少し実態と合わないものになってきてしまうということがないだろうか。 そこで,学級目標を年に数回振返り,修正していくことが大切だと考える。学級目標を振り返る際には,その時の子どもたちの実態に応じ,達成するための行動をイメージしやすいように行動目標に表わすとよいだろう。そうすることで,学級目標達成のための目指すべき行動として学級内で共通理解しやすいと考える。そして,学級のあらゆる活動でその達成を目指していく。もちろん,それらがそのまますべての活動の目標となるとは限らないが,話し合う共通の指針となるだろう。 (2)子どもによるSTPDサイクルを生かした活動 STPDサイクルを生かした活動は,子どもたちの主体性や社会性を育むための手段であり,学習過程だと考える。図2-3は,学習指導領解説特別活動編で述べられている学級活動の学習過程である。 ●S「現状把握」 子どもたちによる自治的な活動を目指すのであれば,子どもたち自身で学級の現状に目を向けることが大切である。そうすることが,新たな課題への気付きとなり,次の活動の原動力となると考える。現状を見つめる場は,活動後の振返りの場である。その場で大切にしたいことが,その視点とその可視化である。杉田(23)によると,この振返りは,「子どもたち一人一人の『主観』を大切にしていく必要がある」と述べている。また,杉田は「振返り」の視点として,以下の四観点の重要図2-3 学級活動の学習過程 (22) 小学校 特別活動 7
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