っていくのか,どのように社会や人生をよりよいものにしていくのかを考え,主体的に学び続けて自ら能力を引き出し,自分なりに試行錯誤したり,多様な他者と協働したりして,新たな価値を生み出していくために必要な力を身に付け,子供たち一人一人が,予測できない変化に受け身で対処するのではなく,主体的に向かい合って関わり合い,その過程を通して,自らの可能性を発揮し,よりよい社会と幸福な人生の創り手となっていけるようにすることが重要である」(12)と書かれている。変化の激しい時代だからこそ,多様な他者と協働しながら新しいものを生み出したり,自分を進んで生かしていったりする力がいっそう求められているのである。 第2節 学校における特別活動の意義と課題 (1)学校の役割 前述(p.3)したように,子どもたちは地域や家庭において様々な集団活動に触れ合う機会が減少している。そこで,学校での様々な集団活動で子どもたちが多様な他者との関わりを通して主体性や社会性を育んでいくことが今まで以上に求められている。では,子どもたちは学校でどのような集団に属し,どのような活動を行っているのだろうか。 図1-1(p.2)で,子どもたちが所属している集団を四つに分けて示したが,学校も子どもたちが所属する小社会であると考えると,同じように四つに分けることができるだろう。図1-1のフォーマルを「時間割に位置づけられている時間」,「インフォーマル」を「それ以外に時間」と位置付ける。また,より具体的に表すために,集団ではなく,集団で行われる活動を四つに分けて考えてみる。以下は杉田の考え(13)を基に筆者の考えを入れたものである。図1-4は,子どもたちが所属する学校での集団を四つに分けて表したものである。 等の活動である。cは,時間割に位置付けられて aは,教科学習中心の活動で,子どもたちが自ら選択することができる幅が少ない活動である。これに対して,bは子どもたちが自ら選択することができる幅がaより広い特別活動を中心とした子どもたちの話合い活動,集会活動, 係活動 小学校 特別活動 4 はいないが,休み時間や放課後等を用いたa.bの活動の延長上の活動である。dは時間割に位置づけられない子どもたちだけの自由な時間である。休み時間や放課後遊びなどがそれにあたる。aやbの一部は教員が意図的に仕組む活動である。cの活動は,内容等で子どもたちが選択できる幅がそれほど大きくはない。活動形態も教員が共に活動する場合やそうでない場合などいろいろであるが,中心となるのは子どもたちであり,自由に考えていることを言ったり,素の自分を出したりすることができやすい活動である。その分,子どもたち同士がより仲良くなる可能性やぶつかり合ってしまう可能性もある。このような機会が子どもたちの「主体性」や「社会性」を育んでいくために大切である。これらの活動をより実りのあるものにするために,aで学んだことを生かしながら,bを中心として徐々に子どもたち中心のcやdの比重を大きくしていき,子どもたちが自分たちで考えて行動することができるようにしていくことが重要である。つまり,最初は教員が中心となり,意図的な集団活動を仕組み,そこから徐々に支援を減らしていき,子どもが中心となるような集団活動に変えていくのである。その中核になる活動は,よりよい集団や学校生活を目指して行われる活動である特別活動である。 (2)特別活動の目標と意義 特別活動は,学級活動・児童会活動・クラブ活動・学校行事から構成されている。そして,「様々な構成の集団から学校生活を捉え,課題の発見や解決を行い,よりよい集団や学校生活を目指して様々に行われる活動の総体」(14)である。その活動の範囲は,学年が上がるにつれて広がり,そこで育まれた資質・能力が社会に出た後の様々な集団活動や人との関わりの中で生かされていく。 次頁図1-5は,平成28年度答申の別添資料「特別活動における各活動の整理と『見方・考え方』(イメージ)」を筆者が少し手を加えたものである。 図1-5から分かるように,特別活動における様々な集団活動の経験は,子どもたちの将来の活動に大きく関わっていく。また,学年や学校段階が上がるにつれて集団や社会の範囲が拡大し,より多様な他者と関わることになるのだ。そこで,特別活動において育む必要がある資質・能力を明確にし,計画的に活動に取り組む必要がある。 次期学習指導要領特別活動編では,特別活動において,集団や社会の形成者としての見方・考え 図1-4 子どもたちが 所属する学校 での集団
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