001総教C030705H29最終稿(中澤)
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1.子どもたちが話合いに慣れた 2.事前に学級活動ノートをチェックしてコメントを入れていた 3.計画委員にとっても,他のみんなにとっても議題が明確だ 4.担任教員が意図的に子どもたちに「任せて」活動を行った 1に関しては,子どもたちみんなが話合い活動の一連の流れが分かり,見通しが持てていたことや計画委員が毎回交代はしたものの,進行の仕方を学んでから行うことができたことである。 見とることはできた。 前述(p.20)のように,1回目と2回目の話合い活動と3回目の話合い活動では,大きな変化が見られた。一番大きな変化は,自ら発言しようという子どもの数が増えたことである。また,話合いの途中に担任教員に援助を求めることがほとんどなくなったことも大きな違いだろう。 では,何が変わったのだろうか。担任教員とその要因を探りあった。以下はその要因として考えられるものである。 2に関しては,話合い活動の数日前に計画委員が議題や提案理由,話し合うことをみんなに伝えて,事前に自分の考えを持てていたことが一つある。また,その後,教員がそれを事前にチェックし,「よい意見だね」「ぜひ発表しよう」などの言葉を添えたことも自信につながったと考えられる。 3の議題が明確になったのは,学級目標・行動目標達成度グラフを見て,自分たちの現状に気付き,学級目標を達成させるために何をしていけばよいかを子どもたち自身で考えることができたからだと考えられる。自分たちで見つけた課題だからこそ,自分たちで解決していきたいという原動力につながった。 4では,担任教員が話合い活動はみんなのためにあるもので,みんなで創り上げるものだということを子どもたちに伝えた。子どもたちにとって,自分たちで進めることができるといううれしさと,責任を感じたと考えられる。また,担任教員にとっても「見守る」姿勢をとることを子どもに伝えたことで,自分もできる限り見守っていくことを意識できたと考えられる。 このように,子どもたちの自治的な能力を身に付けさせていくためには,自分たちの力を信じて挑戦させてくれている,だから自分たちの力でやってみようという意識を子どもたちがもつことが大切だということが分かった。しかし,見守るというのは簡単なようで難しい。このような子どもった たちになってほしいという思いが強いからこそ援助したくなるといった経験はないだろうか。A校の担任教員の姿を見ていてもそうだった。子どもたちに任せて見守りたいと思う一方で,うまく意見が出てこなかったり,進んでいなかったりすると助けたくなってしまっていたのだ。筆者自身も同じような経験が何度もある。実際に1回目と2回目の話合い活動では,担任教員はずっと計画委員の子どもたちに寄り添い,傍に立っていた。担任教員に話を聞いてみると,それは,「自分自身の経験の少なさによる不安」と,「なんとかうまく進むようにしてやりたい」という思いからだった。しかし,このままでは子どもたちをステップアップさせることは難しいと考え,3回目は「見守る」ことに決めた。実際には,つい手出しをしたくなる気持ちを抑えて見守ったと言っていた。しかし,1,2回の経験から,子どもたちが自分たちの力で進めていくことができるのではないかという安心感も出てきてため,実行することができたと言っていた。 1回目と3回目の話合い活動はどちらも「お楽しみ会」の内容を決めるものであった。お楽しみ会が行われるまでの準備段階や集会に違いはあったのか探ってみた。担任教員の話から,変化したことのうち特に顕著だったことが次の二つである。 一つ目は,出し物などの準備の際に,議題にあった内容になるように工夫していったことである。二つ目は,担任が声かけをしなくても進んでいったことである。一つ目は何のための会なのかを話合い活動で意識できたためだろう。また,二つ目は,慣れてきたことももちろんだが,自分たちで進めていこうという気持ちが高まったためと言える。 図4-3は,子どもの話合い活動からお楽しみ会までの活動全体の振返りの一部である。 上側の感想を書いた子どもは,議長をした子だった。話合い活動後の振返りでも,活動に対する期待度を1,000%にしていた。自分たちで進めた図 4-3 3回目の活動終了後の振返り 小学校 特別活動 27

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