図のようにリーダーをしてみた結果,大変さに気付く反面,頼られるうれしさに気付いた子どももいた。また,リーダーだけががんばるのではなく,役割に関係なく全員が助け合うことの必要性を実感している子どももいた。一番下の感想を書いた子どもは,あまりリーダーの経験はないけれど,役割体験をすることで,今までリーダーをしていた子どもの気持ちに気付くことができたと言えるだろう。 図 3-30 リーダーが交替している様子 第1節 研究の成果と課題 本研究では「集団自治を意識した意図的・系統的な活動を取り入れることで,進んで関わり合い高め合うことのできる集団へと育てることができる。」という仮説のもと,研究を進めてきた。本章では,分析を通して仮説に対する検証を行う。 (1)A校の実践より ●話合い活動を中心とした自治的な活動の実践 図4-1,図4-2は,研究の前後で研究対象の子 図3-32は,リーダー以外のメンバー(フォロアー)が「メンバーとしてがんばること」を書き,それを振り返るというものである。全員がリーダーを体験した後に,「リーダーを交代でやってみて,思ったこと・考えたこと」の振返りを行った。図3-33は子どもたちから出た意見の一部である。 図4-1 自分自身に関すること 図4-2 学級に関すること 図から分かるように,子ども自身や学級に関する項目は,細かい変容はあるものの大きな変化は見られなかった。「わたしは,クラスの人といつも仲よくしています」という項目に関しては少し下 がった。これらから考えられることは,話合い活動を中心とした自治的な活動の実践において,まだ子どもたちの普段の生活に変容を及ぼすまでには至っていなかったということである。しかし,それぞれの活動においては,子どもたちの変容を図 3-31 係ノート(リーダー用) 図 3-32 係ノート(メンバー用) 図3-30は係の一週間の計画をしている様子である。リーダーが話合いの中心となり進めていった。 計画の際には,必ずこの期間に,「リーダーとしてがんばること」「メンバー(フォロアー)としてがんばること」をそれぞれ考えて係ノートに書いた。 図3-31と図3-32は係ノートの抜粋である。 図3-31は,始めに「リーダーとしてがんばること」をリーダーになった子どもが考えて書き,期間の最後に振り返った。 どもたちにアンケートをとって集計したものである。 図 3-33 役割体験を終えた感想 小学校 特別活動 26 第4章 実践から見えてきたこと
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