・このような活動の時だけでなく,常にみんなと協力して活 動したいです ・協力すると友達関係が深まる。それと,自分でじゃなくみ んなでやったほうがよい ・協力して絵を完成してうれしかったです。 楽しさの実感がこもったものとなっている。 また,この活動で協力した経験を他の活動にいかしていこうという気持ちを持った子どももいた。このように,実際に集団で活動する体験をしたからこそ,そのよさや協力することの大切さを実感することができたと考えられる。 ●お楽しみ会の準備と実践 様々な学校行事と重なり,話合い活動から実践までの間はおよそ1カ月あった。今回は,係ごとの出し物ということもあり,普段の係活動の活動をお楽しみ会の準備にかえて活動した。係ごとに休み時間や係給食の時間などを利用して話合いと準備をした。また,計画委員も自分たちの出し物にさらにプラスして,時間配分や進行などの準備も行った。普段の係活動が活発になっていることもあり,うまく時間を使いながら協力して準備を進めていた。 実践の様子を見ていると,計画委員がタイムキーパーを行い,出し物をしている係にあとどれくらいか伝えていた。また,他の係もその時間に合わせて臨機応変に短くするなどして工夫していた。少し時間が延長してしまった係はみんなに「時間が長くなってごめんなさい」と伝えるところが見られた。足のけがをしている子どものために,ルールを工夫したり,移動する際などもやさしく気遣ったりするところが見られた。 全体を通して,係の出し物すべてに夏休み前のお楽しみ会より工夫が見られた。また,出し物をしている係の子どももそれに参加する他の係の子どもも場を盛り上げる声かけが多かった。 担任教員は子どもたちを見守りながら一緒に楽しく参加していた。工夫していることやよい声かけが聞こえたらその場で褒めたり,もっと改善の余地があったところは活動後に伝えていたりしていた。担任教員からアドバイスをもらった係の子どもに話を聞いてみると,自分たちの係はみんなを楽しませることができたけれど,次やるときはもっとこういうところを工夫しようという意欲をもっていた。 このように,話合い活動の充実がその後の準備小学校 特別活動 22 1.学級全体での話合い活動による係活動のめあてと内容の決定 2.STPDサイクルを利用し,振返りを次の改善意欲につなげる 3.環境の整備(時間・場所・道具) や実践に大きく影響していることが分かる。学級みんなが同じ目標を持ち続けたまま活動に取り組めた結果だと考えられる。 第2節 係活動における自治的な活動の実践 (1)子どもによるSTPDサイクルを生かした係 A校とB校の5年生に自分自身・学級・係活動についての事前アンケートを行った。 図3-20は,係活動に関して子どもたちに事前にとったアンケートの項目である。 図 3-20 係活動に関するアンケート項目 これらを集計すると,係活動についての項目では,他の「個人」や「学級」に関する項目よりも両校とも平均値が下がることから,子どもたちの意識としても係活動が「できている」という実感はあまりなかった。中でも,「わたしの係の活動はクラスの人の役に立っている」という項目においては,他の項目よりも低い結果となった。集計した結果は,第4章第1節で示す。 事前のA校担任教員への聞き取り調査によると,前期の係活動は,継続して活動ができていないということだった。活動自体も,自ら活動を行うというより,担任教員が声をかけて活動するというものだった。その結果,子どもたちが楽しんで活動に取り組んでいるというより,やらなければならないからやっているものになってしまっていたのである。そこで,係活動を子どもたちによる自治的な活動にするための最初のステップとして以下の三点を行った。 以後はこれらを詳しく述べていく。 活動の実践
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