・よいと思う意見が出たら拍手しましょう ・手つなぎおにの意見が少ないので,よいと思ったと ころを言ってください ・この中で議題にあっているものはどれですか 特に三つ目の「この中で議題にあっているものはどれですか」の後は,急激に発言が増えた。議題に返ることで,的が絞られ意見が出やすくなったと考えられる。 1・2回目とも自分から意見を言う人が少なかったという課題があったので,担任教員が前もって計画委員が集めた学級活動ノートをチェックし,コメントを書くなどして自信をもって発言できるようにした。そうすることで,自分も参加しているという意識を持つことができると考えたためだ。 話合い活動での担任教員からの始めの話では,自分たちの力でよりよいクラスを目指していって欲しいという願いとそのために活動を見守る姿勢をとることを伝えることにした。それにより,困ったらいつでも担任教員に聞けばよいという考えをなくすためである。 話合いが始まると,副議長から,「みんなの力で目標を達成させるためにたくさん意見を出しましょう」といった言葉が出てきた。そのため始まってすぐは,いつもより意見がたくさん出てきた。しかし半ばから意見が途絶えるようになると,議長や副議長から自主的な補助発言が出てきた。以下はその発言の一部である。 話合い活動の最後には,副議長から「学級目標に沿って内容を決められたのでよかった」という振返りがあった。また,担任教員からの話では,ほとんど自分たちの力で進めることができていたことについての激励があった。また,やってみてどうだったかの「問いかけ」に対して「自分たちで話し合えて楽しかった」という意見が出てきた。全体的に見ても,1・2回目と比べて,自分から手を挙げて発言する数も多かった。表3-1は第1回から第3回話合い活動の一人一人の発言の回数をまとめたものである。「意見を言った回数」は,自ら手を挙げて発言したもののみの集計である。 表3-1から分かるように,1・2回目は大きな変化はないが,3回目において,92%の子どもが発言することができるようになっていた。また,全体的な発言量も大きく増えた。ここで注目すべきは,3の子どもである。この子どもは,自分の思いを人に伝えることが難しく,他教科においても自ら発言することはほとんどなかった。しかし友また全体的に見ても,「これからがんばること」の記入内容は,1・2回目では「意見をたくさん言う」ということに集中していたのに対し,様々な意見が書かれていた。中でも,「他の人の意見に対する自分の考えを言う」「他の人の意見をしっかり聞く」や「反対意見をまとめていく」など,他者との関わりについての記述が出てくるようになった。また,「学級目標を達成させる」といった学級目標に向かっていく意見も出てくるようになった。 1回目と3回目はどちらとも「お楽しみ会」 (パーティ)を行うというものであったが,準備や会の運営にも違いが出てきた。1回目の準備は,なかなか進まず担任教員が補助するところが多くあった。3回目は1回目で慣れていたこともあるが,自分たちで何とかしてやっていこうという姿勢が見られた。ルールの説明やチーム発表等も,事前に見通しを持って当日の朝の会などを使って行うなど時間の使い方にも工夫が見られた。「振返り」については第4章で述べていく。 (2)B校での実践 ●実態把握 B 校では,実践研究前から議長や副議長などを表 3-1 話合い活動の発言回数調小学校 特別活動 16 達の意見を聞いて,よいと思ったところを自ら発表することができた。最後に担任教員から「今日はいつも発言していなかった子が発言していてうれしかった」との話があった。すると,隣の席に座っていた子どもがその子どもの方を見て拍手をしていた。それに気付きうれしそうにする姿が見られた。その子どもの振返りを見てみると,1回目では,「自分は進んで話合いに参加していたか」という問いに対し「あまり思わない」と回答していた。しかし,3回目では「まあ思う」になっていた。また,「自分は活動にのびのび取り組んでいたか」という問いに対し,1回目では,「まあ思う」だったが,3回目では「そう思う」になっていた。ここから考えて,自分の思いを伝えることができたということと,それを認めてくれる友達や教員がいることは,自己評価の向上の大きな要因になると考えられる。
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